9月の熱中症は室内・屋外の仕事で要注意|ウェアラブル端末の活用法
2022.09.14
業界コラム
熱中症とは、体温が上昇し、体内の水分や塩分のバランスが崩れることで生じる病気です。熱中症を発症すると、めまいやけいれん、頭痛などを引き起こし、一時的に意識を失うことも珍しくありません。
熱中症は気温が上昇する5月から8月あたりによく見られます。皆さんも夏場には水分を携帯したり、なるべく日陰で休むなど熱中症には気を付けているでしょう。そんな熱中症ですが、夏場だけでなく秋に差し掛かる9月にも注意すべきと言われています。
ここでは、なぜ秋にも熱中症に気を付けなければならないのか、また具体的な熱中症対策についても紹介していきます。
※おすすめ記事:転倒、落下、熱中症…。オフィスや事務所で注意すべき労災事故の防止方法
9月の職場で熱中症に注意すべき理由とは
熱中症といえば「夏」に注意すべき症状というイメージが強いですが、秋も同じくらい気を付けなければなりません。ここではまず、なぜ秋にも熱中症に気を付けなければならないのかを紹介します。
秋にも熱中症になりやすい理由
総務省が公表したデータによると、令和3年9月における熱中症による救急搬送人員は2,355人でした。これは同年の5月から9月までの熱中症による救急搬送人員が46,251人であったことを踏まえると、全体の約5%に相当します。
こうした割合には、熱中症の発症理由と人間の深部体温が関係していると考えられます。
人間の体温には「皮膚体温」と「深部体温」が存在します。皮膚体温はそのまま皮膚の表面の温度を指し、深部体温は脳や内臓などの体温を示しています。
深部体温が過度に上昇すると、熱中症へとつながってしまうのです。深部体温を減少させるには、こまめな水分補給が欠かせません。
しかし、秋口は夏に比べて気温が下がり始めることから、多くの人が水分補給を怠ってしまう傾向にあります。結果として、残暑の中水分補給をしないことで深部体温が上昇し、秋口の熱中症へとつながると予測されます。
※出典:総務省「令和3年9月の熱中症による救急搬送状況 」
※出典:総務省「令和3年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」
職場・仕事中の熱中症による死傷災害の現状
熱中症は私生活だけでなく、職場や仕事中にも注意すべきです。熱中症が原因の死傷災害について確認しましょう。
厚生労働省の資料によると例年500人以上が熱中症による死傷者として運ばれています。猛暑日が多かった平成30年に限っては、他の年の倍以上の1,000人以上の死傷者を出しているようです。
さらに、データの内訳を見てみると、明らかに屋内で作業していたと考えられる人の熱中症が全体の21.9%を占めると記されています。このことから屋外、屋内問わず、熱中症に気を付ける必要があると言えるでしょう。
※出典:厚生労働省「令和3年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」
9月になっても熱中症警戒アラートを要チェック
夏場だけでなく秋口にも熱中症に気を付けなければならず、屋外だけでなく屋内の職場でも熱中症患者が発生しています。このことから、どういう基準で熱中症に気を付ければよいのか分からなくなってしまったという方もいるでしょう。
そのような場合は、環境省が公表している「熱中症警戒アラート」をチェックすることをおすすめします。
熱中症警戒アラートは、環境省と気象庁が協力して情報発信しているサイトで確認できます。同サイトでは気温、湿度、輻射熱という3つの観点から暑さ指数を導き出し、暑さ指数が一定以上の地域に対して、熱中症警戒アラートを発表しています。(輻射熱とは日射しを浴びたときに受ける熱や、地面、建物、人体などから出ている熱を指します。)
熱中症アラートが発令されている地域では、熱中症予防の行動をするよう促しています。
このように、熱中症警戒アラートを確認することで、秋であっても熱中症リスクの高い日を把握できます。なるべく毎日確認するように習慣づけ、自分の住んでいる地域でアラートが発表された日には熱中症予防の行動をとるようにしましょう。
室内での熱中症の注意点と予防・対策方法
より具体的に、どのような熱中症対策を取ればよいのかを室内、室外別に紹介していきます。室内でも熱中症の危険性はあるため、しっかりと対策しておきましょう。
オフィスワーカーは「室内熱中症」に要注意!
先ほども説明したとおり、屋内でも熱中症を発症する方は少なくありません。このように室内で発症する熱中症は室内熱中症と呼ばれています。熱中症は暑い日差しのある屋外で発生するイメージが強いかもしれません。
実際、気温が高ければ、深部体温も上昇しやすく、熱中症にかかりやすくなります。
そんな中、室内でも熱中症をおこす理由として、室温や湿度の高さが挙げられます。特に風通しの悪い部屋であれば、部屋内部の環境は悪くなり、深部体温も上昇しやすくなるでしょう。
また、長時間の作業によって、水分補給が十分に行えなければ、深部体温を低下させることも出来ません。
在宅ワークが解禁されたことによって、自宅で作業をする方も増えています。しかし、住環境によっては室内熱中症になりやすい部屋で日々の業務を行っている恐れもあるのです。
※出典:日本気象協会推進「こんな人は特に注意!室内で過ごす人 」
室内熱中症の予防法1:適切な室温を保つ
室内で過ごす場合、扇風機やエアコンを用いて適切な室温を保つよう心がけましょう。快適な温度の部屋であれば、室内で長時間過ごしていても、熱中症の原因である深部体温も上昇しにくいためです。
湿度の高さも深部体温を上昇させる原因であり、過度に湿度の高い部屋では熱中症の危険性も高まります。そのため、可能であれば乾燥器も活用して、室内の湿度を下げるよう努めましょう。
また、室内の温度を操作するにあたって、過剰に温度を低く設定するのは避けましょう。低い温度の部屋に慣れてしまうと、外出時に急な温度変化が伴ってしまい、外出先で体調を崩す原因となってしまいます。
涼しい部屋で過ごすのならば、適度な運動をしたり湯船につかって汗を流すなど、暑さに慣れた体を保つよう心がけましょう。
室内熱中症の予防法2:適度な水分補給
熱中症を予防するためには、なるべく深部体温を上昇させない必要があります。そのためにも、こまめな水分補給を怠らないようにしましょう。
比較的涼しい部屋で過ごし、業務や作業をしていると、水分補給を忘れがちです。1時間に1回水分補給をする、休憩時間には必ず水を飲むなどのルールを設けることで、業務の邪魔をせずに水分補給を行うことが出来ます。
また、お茶やコーヒーを水分として摂取する場合には注意が必要です。これらの飲み物には利尿作用があり、せっかく水分として摂取したにもかかわらず、尿として体内の水分を排出してしまいます。
熱中症対策に水分補給を行うならば、水やスポーツドリンクを中心に飲み物を選ぶと良いでしょう。
室内熱中症の予防法3:生活リズムを整える
朝昼晩とそれぞれしっかりと栄養を取り、早寝早起きを心がけるといった、生活リズムを整えることも室内熱中症の予防として効果的です。
皆さんの中にも、朝昼はどうしても仕事の関係でご飯を抜いてしまい夜にたくさん食べているという人や、夜遅くまで起きてしまい寝不足のまま仕事へ向かうという人もいるでしょう。テレワークで出社義務が無くなったことで、更に生活リズムが狂ってしまった人もいるかもしれません。
規則正しいリズムで生活できなければ、体の中にある自律神経も乱れてしまいます。自律神経は体温調節機能もつかさどっています。そのため、自律神経が乱れると、深部体温を低下させる機能が働かず、熱中症になりやすくなってしまいます。
人それぞれ勤務形態や生活リズムも異なりますが、熱中症を予防するのであれば、可能な限り生活リズムを整えるよう心がけましょう。
屋外作業での熱中症の注意点と予防・対策方法
屋内作業者はもちろん、屋外で業務や作業を行う方も熱中症には十分気を付けましょう。
エアコンで過ごす場所の温度を変更できないため、より一層個人個人の熱中症対策が必要となってきます。ここで改めて熱中症対策について理解を深めることで、日ごろから予防していきましょう。
屋外作業者はしっかりと熱中症を予防しましょう
先ほどは屋内作業者にも熱中症被害の危険性があると伝えましたが、屋外作業者はより一層熱中症に気を付ける必要があります。
エアコンが使用できない屋外では、屋内より気温も高くなりがちです。また、直射日光によって体感温度はより一層高くなります。深部体温も上昇しやすいため、屋外の方が熱中症になりやすいと言えるでしょう。
実際、厚生労働省が公表している資料でも、令和3年度における職場での熱中症の内、約8割は屋外での作業が関係している旨が記載されています。特に以下の職種は、業務中の熱中症による死傷者数が多いと言われています。
・建設業
・運送業
・警備業
・商業
・清掃・と畜業
・農業
上記の職種で働いている方は、特に事前の熱中症対策を綿密に行っておきましょう。
屋外の熱中症の予防法1:温度の低い場所にいる
屋外で作業すると言っても、ある程度の融通が利くのならばなるべく涼しい場所を選んで活動すると良いでしょう。
当然ながら、直射日光が当たっていない場所は温度も上がりづらく、比較的過ごしやすい環境になっています。どうしても日光の当たる場所で活動しなければならないのであれば、帽子や日傘を用いて、日陰をつくってあげると良いでしょう。
また、長時間屋外で活動するのならば、熱がこもりにくい風通しの良い服を着たり、携帯用の扇風機といった体を冷やせるグッズを活用するのもおすすめです。
近年は汗を吸収する機能性素材を用いた衣服も販売されているため、それらを着用しても体に熱がこもるのを防いでくれます。
屋外の熱中症の予防法2:水分だけでなく塩分もこまめに取る
熱中症対策には深部体温を下げる水分補給がおすすめですが、屋外で作業するのならば塩分も意識的に摂取しましょう。
長時間気温の高い場所で活動していると、体温を下げようと大量の汗をかいてしまいます。そして、この汗には体内の栄養素であるミネラルも含まれています。そのため、大量の汗をかくと体温を下げるとともに、体内のミネラル不足を引き起こしてしまうのです。
体内のミネラルが不足すると、意識がもうろうとしたり、めまいや頭痛、吐き気、嘔吐などの症状を引き起こす低ナトリウム血症となってしまいます。
熱中症だけでなく、低ナトリウム血症を予防するためにも、水分とともにミネラルを摂取しなければなりません。ミネラルを補給するには、スポーツドリンクや塩分入りのタブレットがおすすめです。
屋外の熱中症の予防法3:その日の気候をチェックする
熱中症を対策するために重要なことは、それぞれが油断をせずに日々を過ごすことです。その一環として、夏場だけでなく秋口にも環境省が更新している「熱中症警戒アラート」を毎日チェックしておきましょう。
そして、アラートが出ている日は、これまで紹介してきた熱中症対策をより徹底すると良いでしょう。
どうしても外出しなければならないのならば、熱中症になっても、すぐに気づいてもらえるよう周りに誰かいてもらうのもおすすめです。自分も周囲の人が熱中症で具合を悪くしていないか気を付けることで、誰かが熱中症で倒れても最悪の事態を避けられます。
互いに情報を交換し合いながら対策すれば、熱中症にかかることなく夏と秋を健康に過ごせるでしょう。
「ウェアラブル端末」で熱中症を予防しよう
8月までの夏場だけでなく、9月位以降の秋口にも熱中症に気を付ける必要があります。また、仕事中に熱中症になった人の内、約20%が屋内で作業していたことを考慮すると、室内で過ごす日も熱中症対策を施す必要があるでしょう。
熱中症対策を行う上で気を付けなければならないのが深部体温です。深部体温は直感的に把握できるわけではありません。そのため、熱中症を予防するには、日常的に深部体温を下げる行動をとる必要があります。
深部体温を常に把握しておきたいという方には熱中対策ウォッチ「カナリア」がおすすめです。こちらの製品は腕時計のように着用することで、深部体温を測定し、熱中症の危険性が高まるとアラームが作動します。
着用者はそのアラームを参考に深部体温を下げる行動をすれば、熱中症を予防できるでしょう。医療用の機器と比較しても、かなり高い精度を記録しているため、あなたの熱中症対策に貢献します。
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