食中毒って、実は秋に多い!? ――原因と予防方法をしっかりチェックして、美味しい秋を楽しもう
2022.10.19
業界コラム
暑い夏がやっと過ぎ去って、だんだん過ごしやすい季節になってきました。
秋といえば「食欲の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」「読書の秋」といろいろな楽しいことが連想されます。
だけど、ちょっと待って!
実は秋に多いものがもうひとつ――なんと「食中毒」も秋に多いのです。
こんなに過ごしやすい季節なのに、何故?
楽しい秋を元気に過ごすために、原因や予防方法をチェックしましょう。
秋に食中毒が多いのは、どうして?
食中毒といえば、じめじめとした湿度の高い梅雨時、気温が高い夏に多いイメージがあります。
もちろん1年を通して、どんな時期にも食中毒は発生します。
しかし秋に増えやすいとされている理由は3つあります。
・夏に落ちてしまった免疫力・体力が戻っていない状態
・運動会や行楽・バーベキュー・お祭りといったイベントで、お弁当などを外で食べる機会が多い
・キノコ・フグ・山菜といった自然毒、魚類に多い寄生虫といった食中毒の原因になるものを食べる機会が多い
食中毒を引き起こす原因は大きく分けて「細菌」「自然毒・寄生虫」「ウイルス」です。
特に秋に多いのは「細菌」と「寄生虫」によるもの。
それぞれ具体的にどんな食べ物や状況から発生しやすいか、代表的なものをまとめてみました。
細菌はどこにいる? 食中毒を防ぐために知っておきたい調理・保管方法とは
カンピロバクター菌
主に鶏肉・豚・牛の腸内に生息する細菌。井戸水から検出されることもあります。
しっかりと火を通す・加熱すること、生肉を切った後のまな板や包丁はすぐに洗って他の食材に細菌を移さないことで防げます。
黄色ブドウ球菌
人の手指や鼻腔などにも付いているありふれた常在菌です。
細菌から出る毒素は通常の加熱方法では死滅しません。手作りのお弁当や菓子などから発生することが多いです。
調理する前にしっかり手指の洗浄する、使い捨ての手袋を使って調理する、お弁当箱などの容器・調 理器具の洗浄する、お弁当などすぐに食べない・持ち歩く際は保冷剤を使用したり冷蔵庫に保管することで防げます。
サルモネラ菌
動物の腸内に生息する細菌で、肉や卵を介して食中毒の原因となります。
肉類や生卵は冷蔵・冷凍で保存して、食べる時にはしっかり加熱することで防げます。
生卵や卵液は、割ったらすぐに食べるか、加熱して料理しましょう。
ウェルシュ菌
牛・豚・鶏肉を介して発生することが多く、加熱しても死滅しません。
酸素を嫌う性質があり、カレーやシチューやスープといった煮込み料理を作り、温かいままで置いておくと細菌が増えてゆきます。
お祭りや催し、給食など大鍋で作った料理を数時間おいた時に食中毒が起きやすい理由はこの性質のせいです。
前日調理を避ける、加熱調理をしたものはすぐに食べる、大量に作って保存する場合は
調理後できるだけ早く菌が増殖しない温度(10℃以下)まで冷まして
小分けにして保存しましょう。
腸管出血性大腸菌
大腸菌は自然界のなかに多数存在する身近な菌ですが、そのうちの一部が食中毒の原因となる毒素を持っています。
とくに集団食中毒で有名になったO-157は腸管出血性大腸菌と呼ばれ、症状がひどくなると重い後遺症や死亡する場合があります。
肉を調理する際はしっかり加熱する、肉を扱った包丁やまな板はきちんと洗浄して他の食材への二次汚染を防ぐ、生肉(ユッケや肉刺身など)は避ける・認可を受けた店で調理されたものを選ぶことで防げます。
美味しい旬の食材に潜む罠 自然毒による食中毒を知ろう
キノコや山菜は有毒なものと、そうでないものが見分けにくい
暑い夏が過ぎ、適度に雨が降る秋はキノコや山菜が実りを迎えます。
山や林に採りに行く人も多くいますが、実は有毒なものの多くがかなり身近に生息しています。
とくに中毒発生率が高いキノコ「ツキヨタケ」「クサウラベニタケ」「テングタケ」は、毒のない食べられる種類のものと見分けにくい姿をしています。
山菜だけじゃない、身近にある有毒植物
食中毒の発生率が高い、身近な植物…実は意外なものがあります。
それは「スイセン」。きれいな花を咲かせますが、葉と根の部分に毒素を含んでいます。
葉の部分がニラに似ていることから、間違って調理して中毒になる事故が発生しています。
他にも「ジャガイモ」の芽に毒素があることは有名ですが、芽をとっても本体に毒素が広がっている状態のもの(イモの表面が薄い黄緑~緑色に変色する)を食べると、中毒を起こします。
自然毒最強の毒素、フグ毒テトロドトキシン
フグ毒は食材として自然界にある毒素のなかでも非常に強く、調理には免許が必要です。
さらに日本近郊で捕れるフグは約50種、そのうち食用として許可されているのは22種。なかなか素人では判断がつきません。
海釣りして捕った魚は、必ず有毒種かどうか判断ができる人にチェックしてもらいましょう。
このように「自然毒」は案外身近にあるうえに、素人では判断しづらいことが多いです。
キノコ・山菜・魚類など自然の食材は、食用だと確実に判断できない人がいない場合「採らない」「食べない」「人にあげない」「売らない」を徹底しましょう。
秋の食中毒原因で多い「寄生虫」は、旬の魚と一緒にやってくる
食中毒の原因となる寄生虫で、圧倒的に発生件数が多いのは「アニサキス」によるものです。
アニサキスの幼虫は、サバ・アジ・サンマ・カツオ・イワシ・サケ・イカといった魚介類に寄生しています。
約2~3㎝ほどの白い糸状の姿で、目視で見つけることが可能。
もし生きたアニサキスの付いたままの魚介類を食べてしまった場合、激しい腹痛に襲われます。
飲食店や店頭販売されている魚介から発生する場合も多くあっります。
予防方法としては、新鮮な魚を選び内蔵は速やかに処理する、目視でアニサキスがいないか確認する、冷凍(-20度で24時間以上)、加熱する(70℃以上)こと。
食中毒予防の3大原則を守って、安全に美味しく食べよう
秋に多い食中毒の原因をピックアップしてきましたが、1年を通していつでも食中毒は予防しておきたいもの。
家庭でできる予防の3大原則をチェックしてみましょう!
【菌を付けない】
・調理前、食事前、食品を扱う前にしっかり手洗いする。
・まな板、包丁などの調理器具は、その都度きれいに洗う。特に生肉・魚を扱った後は他の食材に菌が移らないよう気を付ける。
・残った食材(生肉、ハムなど)を保管する時は、個別にラップで包む・密封容器に入れて冷蔵庫へ。
・食器やお弁当箱などもしっかり洗浄・水切りしてから使う。
テラモトのブランドである「tidy」から、食器やお弁当箱をしっかりと洗えるオススメの商品をご紹介します。
tidy Platawa for Sumi
プラタワ・フォースミは尖った毛先で、隅や隙間などの細かい汚れをかき出します。
ランチボックスなどの細かな部分もしっかり洗えます。
※商品ページ:Platawa for Sumi
tidy BorderSponge
波形の凹凸が、食器のフチや細かな部分にフィットし、落ちにくい汚れもとらえて、しっかり落とします。
※商品ページ:BorderSponge
【菌をふやさない】
・食材は消費期限をしっかりチェックする。
・肉・魚を買った際はそれぞれ分けてビニール袋に包み、暑い時期は保冷剤や保冷バッグなどを使用する。
・食材を買った際は早めに帰宅し、すみやかに冷蔵庫で保存する。
・冷蔵・冷凍庫の温度は適切か確認して、つめこみすぎないよう気を付ける。
・シチュー、カレー、スープなどは出来たらすぐに食べる。常温で置いておかず、保管の際は冷凍する。
【菌を死滅させる】
・しっかりと火を通す。
・生野菜を使う時は丁寧にしっかりと洗う。
・シチュー、カレー、スープなどに発生する菌は空気を嫌うため、なべ底までよくかき混ぜる。
・使用した調理器具、まな板、スポンジ、布巾やタオルはしっかりと洗浄・除菌しておく。
食中毒予防の3大原則を守って、安全に「食欲の秋」を楽しみましょう。