病院清掃を知ることは、感染対策防止を知ること ~コロナ禍の現代、清掃業務の大きなヒントになるポイントを活かそう~
2022.12.07
お掃除コラム
ビルメンテナンスの業務として大きな位置にある、清掃業務。
オフィスビル、工場、公共・商業施設、学校など不特定多数の人々が行きかう場所の清掃には、一般家庭とは違った決まり事やルーティンがあります。
そのなかでも、高いレベルの清掃方法が求められる場所――病院。
病院清掃のルールや仕組みを知ることは、他の清掃業務にも活かせる大きなプラスになります。
病院清掃に求められる、大事なポイントは3つ
病院には、内科や小児科、眼科、歯科など1つ2つの診療科を担う小さな医院・クリニックから、様々な診療科や検査施設、病棟、救急対応を行う総合病院までさまざまな形態があります。
このなかでも総合病院は、とくに清掃について気を付けなければならないことがたくさんあります。
感染を防止する
なによりも大切なことは、菌やウイルスなどによる感染防止です。
とくに免疫力機能が低下している状態の患者さんにとっては、感染は命の危険に繋がることも。
もちろん医療従事者や病院で働く人たちへの二次感染防止も重要です。
そのためには、清掃によって清潔さを保つことに加え、菌やウイルスを「広げない」「持ち込まない」ことが非常に重要になります。
ゾーニングで徹底的な管理をする
病院は、診察室や待合室、ロビーといった一般的な場所から、手術室、検査室、入院病棟などとくに感染に気を付けるべき場所まで、さまざまな役割を持つエリアがあります。
病院清掃では、場所ごとに求められる清浄さや掃除手順のルールを決めています。
これを『ゾーニング』と呼びます。
とくに清掃道具に関しては、エリアごとに『カラーリング(色分け)』されたもののみを使います。
例えば赤いカラーの道具は、赤エリアにゾーニングされた場所でしか使用できません。
エリア分け、カラー分けによって、菌・ウイルスが他の場所へ広がることを防ぐため、病院清掃においては『ゾーニング』の徹底が求められるのです。
清浄さを保つ
オフィス、商業・公共施設、学校といった不特定多数の人が行きかう場所には、清潔さが求められます。
もちろん病院清掃でも変わりありませんが、より徹底しなければならないことが多くあります。
『ゾーニング』『カラーリング』の他にも
・日々の清掃のなかで手洗いセッケン液や消毒液を切らさないこと
・高レベルの清浄エリアの完全消毒
・一般ゴミと医療ゴミの取り扱いの違い
といったような、清浄さを保ち続けるために注意すべき点が多くなります。
病院清掃における、ゾーニングの考え方
病院清掃では、そのエリアに求められる清浄度によって『区域』をはっきり分けています。
名称は病院によって多少変わることはありますが、主に下記の5区域で分けられています。
高度清潔区域・清潔区域
室内の空気を高性能フィルタを通して清浄化し、無菌・無塵状態にするバイオクリーンルーム。
無菌室とも呼ばれています。
心臓手術や臓器移植・人工関節手術の際に使用されるバイオクリーン手術室、感染防御機能の障害などにより感染リスクが高い患者のためのバイオクリーン病室などが『高度清潔区域』に該当。
高レベルな清浄度が求められます。
バイオクリーンではない一般手術室は、『清潔区域』とされ『高度清潔区域』の次に高い清浄度が必要です。
準清潔区域
手術室周辺、ICU(集中治療室)、NICU(新生児集中治療管理室)などの高度医療室、分娩室、新生児室、回復室などが該当。
新生児や手術後など、通常よりも感染防御機能が低下している患者のために、他の箇所からの感染持ち込みを防ぐ清浄度が求められます。
通常医療区域、一般区域
一般病室、診察室、デイルーム、リハビリ室、ナースステーション、薬剤部、レントゲン室などが該当。
傷が大きく開いていない状態や、感染防御機能の低下していない患者さん、医療従事者が日々の業務を行うエリアなどを『通常医療領域』と呼びます。
他には待合室、玄関ホール、医局・事務室、廊下・階段など一般的な業務を行うエリアを『一般区域』と呼びます。
どちらのエリアも、もちろん感染防止対策は求められますが、高度・準・清潔区域よりは比較的一般的なレベルに近くなります。
汚染拡散防止区域
菌やウイルス感染が高いエリアのことを、『汚染拡散防止区域』と呼びます。
一般病棟や外来のトイレ、一般ごみの処理室、シャワー室・洗面所、浴室などが該当します。
人の出入りが多いトイレや洗面所などは、とくに汚れやすく感染リスクも高くなる場所です。
衛生面を保つためには、こまめな清掃が必要されます。
また、他の場所へ感染リスクを広げないためにも清掃道具の『カラーリング』をしっかり行うことが重要です。
汚染管理区域
菌やウイルス感染が高いもの、汚染されたもの、有害物質・管理が必要な状況を扱うエリアのことを『汚染管理区域』と呼びます。
患者さんから採取した血液・尿・便を検査する臨床検査室・病理検査室、医療ゴミ室、R1管理区域諸室、感染隔離・診察室などが該当します。
有害物質や感染リスクを持ち出さないことが非常に重要になること、作業者への危険リスクを避けることが重要です。
掃除方法や道具の使い方、保管方法、廃棄方法などをマニュアル化し、徹底した管理が必要とされます。
ココが他とは違う、病院清掃のポイント
病院清掃ならではのポイントをご紹介します。
交換部分から本体まで、清掃道具は色分けする
エリアごとに、使用する清掃道具のカラーを決めて使います。
とくに病院や介護施設など、感染防止対策が必要な場所ではカラーゾーニングが行われています。
掃除器具本体、モップなどの交換部分、清掃用クロスなど清掃に必要な道具が、
・グリーン
・レッド
・ブルー
・イエロー
・ホワイト
といった、5色展開で作られています。
病院清掃の基本、一方拭き
どの場所をどんな道具で清掃するときでも、必ず行う方法が『一方拭き』です。
モップを使って行う床清掃をイメージするとわかりやすいやり方です。
モップ清掃は、床の上で左右に往復させて拭く方法がイメージされやすいですが、それではきれいに拭いた床面が再びホコリや菌などで汚れてしまいます。
病院清掃で行われる『一方拭き』では、モップやクロスなどは掃除する面から離さないように気を付け、一方向にのみ動かして清掃します。
汚れた部分はどんどんスペアに替えていく、オフロケーション方式
通常の清掃業務では、モップやクロスなどは汚れを水ですすいで、再び別の場所の拭き取りを行います。
しかし、病院では感染防止対策のためにモップ部分やクロスは、ひんぱんにスペア交換を行います。
この方法は『オフロケーション方式』と呼ばれ、病院清掃の基本のひとつです。
感染防止対策にぴったりの素材、マイクロファイバー
病院清掃では、他の場所と違って掃除機を使用する機会はほとんどありません。
排気によって菌やウイルスが舞い上がって拡散するリスクが高いからです。
また、従来の糸モップよりも、毛足が短くマイクロファイバー等が用いられたフラットモップを使うほうが、感染対策に有効です。
これはクロスでも同じく、清掃で使われるクロスの多くがマイクロファイバー素材です。
マイクロファイバーは、細かな汚れをキャッチすることで除菌効果が高いこと、吸水率・速乾率の高さから、病院清掃で活躍しています。
病院清掃におすすめの用具
最後に、テラモトで販売している病院清掃におすすめな掃除用具を紹介していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。
FXライトブレードラーグ
ゾーニングに対応できる薄型モップです。カラーゾーニングに対応できる5色の色展開で、ゾーンごとに道具を色分けすることができます。
マイクロファイバーのモップで細かいホコリをしっかりかきとり、繊維内に取り込みます。病院清掃にオススメの商品です。
※商品ページ:FXライトブレードラーグ
ライトダスターS
強い電界でミクロの汚れや菌まで拭き取る、使い切りタイプのダスターです。強力な電場の効果で、チリやほこりを舞い上げないので、病院清掃に最適です。
※商品ページ:ライトダスターS
清掃は、院内・施設での接触感染を防ぐ上で重要です。適切な掃除方法と商品選びで、安全で清潔な施設環境を整備しましょう。