TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

【工場・製造】静電気のリスクと対策方法|製品ロスなど除去が必要な理由とは?
2023.12.07 業界コラム

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秋や冬になると空気が乾燥し、静電気が発生しやすくなります。
車や家の扉で発生する静電気に悩んでいる方も多いでしょう。
しかし、そんな静電気が発生しやすい季節だからこそ、工場や製造などの現場では、よりいっそう静電気対策が必要になってきます。
こうした現場では、静電気によって火災や爆発を伴う事故が毎年発生しているのです。
ここでは、静電気の概要やリスク、対策法などを紹介していきます。

静電気の概要と発生する仕組み

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これまで生きてきた中で、静電気を体感したことがないという方はほとんどいないでしょう。
しかし、「静電気とは何?」と聞かれると、いまいち説明に困るかもしれません。
静電気に関するリスクや対策法を紹介する前に、まずは静電気の概要と発生する仕組みについて見ていきましょう。

※出典:厚生労働省「静電気」

静電気とは

世の中の全ての物体は「原子」という元素の最小単位から構成されています。
通常、原子は「正電荷」と「負電荷」という2種類の電気をまとっており、これら2種類の電気をまとっている原子は安定した状態です。

しかし、物体同士が擦れたり、接触した際、原子中の負電荷を持っている電子が、接触した物体の原子に移動してしまうことがあります。
こうした場合、接触した物体それぞれの原子は「負電荷が少なくなり正電荷が多くなった原子」と「負電荷を受け取り負電荷が多くなった原子」になるでしょう。

そうするとそれぞれの物体は「正の帯電をした物体」と「負の帯電をした物体」になるのです。
物体が正か負、どちらかに帯電している状態を「静電気」と呼びます。

静電気が発生する仕組み

一般的には、皆さんが体感したことがあるような「バチッ」と電気が流れる現象を「静電気」と呼んでいます。
しかし、こうした呼び方はやや誤りであると言えるでしょう。

「正の帯電をした物体」と「負の帯電をした物体」が近づくと、負の帯電をした物体内の負の電荷は、正の帯電をした物体側に戻ろうとします。
これにより、接触した物体の間に負の電荷(電気)が移動する際に、電流が流れるのです。
この物体間に電流が流れる現象を「放電」と呼びます。

つまり、皆さんが普段「静電気」と呼んでいる電気が流れる現象を正確に説明すると、「静電気によって帯電した原子が、放電することにより電気が発生した」となります。
※ただし、以下の文章では一般的な呼称に合わせて、電気が流れる現象のことを「静電気」と読んでいきます。

工場・製造業における静電気のリスクアセスメント

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では工場や製造現場などで、静電気の発生にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
工場や製造現場で実践すべきリスクアセスメントとの関係や具体的な静電気の危険性について紹介していきます。

リスクアセスメントと静電気

リスクアセスメントとは、工場や製造現場などにおける危険性のある事柄を見つけ、それらに対する施策を決定する一連の手順を指します。
具体的には以下4つの手順となります。

1.現場での危険性や有害性のある事柄を特定
2.それらがどれくらいのリスクを抱えているのか把握する
3.リスクを抑える上での優先順位を設定し、実践すべき措置の検討
4.具体的なリスク低減の措置の決定

そして、工場や製造現場では、静電気も危険性のある事柄の1つとして捉えられており、事故やトラブル防止の対策が必要となるのです。

※出典:厚生労働省「リスクアセスメント」

静電気のリスク

静電気が原因で発生する事故にはいくつかの種類があり、火災や爆発、電撃、それに伴う二次災害などが挙げられます。
当然これらの事故によって死傷者が出ることも珍しくはなく、毎年静電気が原因の労働災害が日本全国で発生しています。

こうした事故が発生した際「突然火が付いた」「いきなり爆発した」という風に認識してしまうと、再発防止策を講じることは困難です。
労働環境の安全を確保するためにも、静電気がリスクアセスメントの対象であることを明確に意識しなければなりません。

静電気による作業効率低下・製品ロスのリスク

静電気が原因で発生する事故では、人が巻き込まれるような人身事故だけでなく、事業に悪影響を及ぼす障害も発生します。
具体的な障害としては、産業や帯電する物質によって異なります。
ここでは、その一部を紹介していきます。

工場・製造業で静電気が発生するシーン

そもそも、静電気がなぜ工場や製造現場にて事故の原因になるのか疑問に思う方もいるでしょう。
静電気によって放電が行われた際、火花が飛び散ります。この発生した火花が火災や爆発の着火源となってしまうのです。

・実際の労働災害でも以下のような事例が報告されており、多くの現場で静電気対策が求められます。
・作業員の服や靴から発生した静電気が、空気中の粉末に引火した
・石油系の溶剤に静電気の火花が着火し引火した
・製造した合成樹脂製品をドラム缶に充填する作業中に、静電気が発生し引火した

こうした事故において、静電気の発生条件には様々なものが考えられており、完全に静電気の対策を施すことは難しいかもしれません。
しかし、だからこそ「現時点でも静電気には気をつけている」と油断をせず、静電気が発生する原因や対策手順を洗い出す必要があるでしょう。

※参考:厚生労働省「労働災害事例」

工場・製造業の静電気対策と除去方法

静電気対策に効果的な考え方としては「静電気を発生させない」「既に帯電している電気を外へ逃がす」という2点が挙げられます。
この2点を意識して、工場・製造業における静電気対策と除去方法を見ていきましょう。

適切な湿度管理

基本的に空気中の水分量が少なくなると、物質自体に帯電する量が増えてしまうため、静電気が発生しやすくなります。
そのため、静電気による事故を防ぐには、現場での湿度管理を徹底し、静電気が発生しにくい環境を整えることが重要です。

とはいえ、やみくもに空気中の湿度を高くすればよいというわけではありません。
湿度が高すぎると現場で使用する機械の錆びや作業員の不快感などを引き起こしてしまう恐れがあります。

また、湿度管理を行ったからといって、静電気を完全に防ぐことはできないため、他の対策も併用していく必要があるでしょう。

アース・除電器を活用する

既に帯電している電気を逃がすために、アースや除電器を活用するのもおすすめになります。

アースとは電気を通しやすい物質である導体を地面につなぐこと、もしくは導体と地面をつなぐ装置を指します。
アースを活用すれば、物質に溜まった電気を地面に逃がすことができ、静電気の発生を未然に防げるでしょう。
ただし、ガラスやゴム・樹脂などの、電気を通さない絶縁体には効果がないため注意が必要です。

一方、除電器とは帯電している物質から、電気を除去する装置を指します。
あらかじめ帯電している場所を把握する必要があるものの、絶縁体に帯電している電気も除去できます。

導電性物質を使った商品の活用する

アースや除電器だけでも、物質に帯電している電気を外へ逃がし、静電気の発生を未然に防ぐことができます。
しかし、これらを有効に活用するためには、「事前に静電気を防ぎたい場所にアース線を取り付けておく」「静電気が発生しやすい場所に除電器を設置する」などの操作が必要です。

また、静電気は様々な場所で発生する可能性があるため、アースと除電器のみで工場・製造現場内すべてを対応するのは現実的ではありません。

そこで、導電性のあるリストバンドや帯電防靴などの商品も活用してみましょう。
これらの商品を身につけておくだけで、作業員が帯電してしまった場合も電気を外へ逃がすことができ、静電気の発生を防げます。

導電性物質を使った商品には、フィルムや梱包材なども販売されているため、一度確認してみるのも良いでしょう。

帯電防止剤の活用

物体の帯電を防ぐ方法として、帯電防止剤を活用するのも良いでしょう。
帯電防止剤を塗布するだけで、その物体の帯電を防げます。

スプレーや粉末など、いくつかの種類で販売されているため、使用用途や環境に適した商品を選びましょう。
また、あらかじめ帯電防止剤を練り込み、製品自体に帯電防止加工を施すことも可能です。

帯電防止剤を練りこんだマット「制電フミンゴ」

「制電フミンゴ」とはテラモトが販売している、帯電防止剤を練り込んだマットです。
導電性が高く、マットの上に乗るだけで静電気を表面から裏面へ逃がします。
これにより、作業員に帯電した静電気をスムーズに除去できるでしょう。

マットということもあり摩擦や洗浄による劣化を懸念するかもしれません。
しかし、マット自体に帯電防止剤を練り込んでいるため、日々の使用によって帯電防止効果は損なわれず、半永久的に効果が持続します。

また、大判のマットではなく、ジョイント式になっているため、必要な枚数を購入いただけば、様々な環境で活用できるでしょう。
さらに、アース線や導電板などと併用すれば、さらに帯電性能を向上させることが可能です。(※アース線や導電板は別途お買い求めいただく必要があります。)
制電フミンゴ

制電フミンゴ
※製品ページ:制電フミンゴ

静電気のリスクを把握し製品ロスや人身事故を防ごう

秋や冬といった空気が乾燥する季節になると、静電気が発生しやすくなります。
一方で、工場や製造の現場では、静電気がリスクアセスメントの対象として注目されています。

静電気への対策が甘ければ、人身事故や製品ロスといった障害へとつながる恐れもあるでしょう。
そのため、工場・製造現場では、湿度管理やアース・除電器の設置、導電性のある商品の導入などの措置が必要です。

今回紹介した情報を参考に、工場・製造現場での静電気対策を徹底するようにしましょう。

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