客室清掃員なら知っておきたい。ベッドメイクに関わる用語集
2020.03.04
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ベッドメイクは客室清掃において、ホテルへのお客様の第一印象を左右するかもしれない大切なポイントです。
ここでは客室清掃員として知っておくべきベッドメイクの定義、寝具の用語、寝具の特徴などをまとめて紹介していきます。
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ベッドメイクの定義
まず、そもそもベッドメイクとはどういったものなのかを押さえておきましょう。
ベッドメイクとは
ベッドメイクとは、ホテルにお客様をお迎えするために客室のベッドを丁寧に整えることです。
前のお客様が利用した使用済みのシーツ類を取り替えて、新しいシーツをシワのないように敷き、掛け布団や枕をセットするなどして、見た目を美しく保ちます。
客室清掃においては重要な業務であり、「ベッドメイク」という名称で客室清掃スタッフを求人しているところもあるくらいです。
ベッドメイクの手順
ここでは簡単に概要を説明します。
1.ベッドの上から物を取り除き、マットレスだけにする
2.ベッドパッドをマットレスの上に置いてシワを伸ばす
3.アンダーシーツをセンターに合わせて広げる
4.アンダーシーツにシワを作らないようにしながら、全ての裾をマットレスの下に折り込む
5.アッパーシーツをセンターに合わせて広げ、裾を足元側のマットレスの下に折り込む
6.ベッドサイドに垂れたシーツをマットレスの下に折り込む
7.ベッドスプレッドをベッドの両サイドやコーナーに合わせて広げる
8.トップシーツを数回折り返す
9.枕を置く
10.完成
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ベッドの種類と周辺器具
ベッドメイクについて学んだところで、ベッドメイクをするときに役立つかもしれないベッドの種類やベッドに関する器具・用具などを紹介します。
ベッドの種類
ベッドはサイズ別に10以上の種類に分かれていますが、ここではよくホテルで使われているタイプのものに絞って説明します。
・シングルベッド
97㎝×195㎝の大きさです。
シングルルームにある標準的なサイズのベッドです。
ツインルームにはこれが2つ置かれることが多いでしょう。
少し幅の大きな110㎝×195㎝のものを「ワイドシングルベッド」と呼びます。
また、幅が同じで少し長い97㎝×205㎝のものは「シングルベッドロングサイズ」と呼ばれています。
・ダブルベッド
ダブルルームに使われることが多いベッドです。
140㎝×195㎝で、大人2人なら横になることができます。
・クイーンサイズベッド
170㎝×195㎝と、ダブルベッドよりさらに幅の広いベッドです。
ダブルの部屋に置かれることがある以外に、ファミリールームに1つまたは2つ置かれることもあります。
・キングサイズベッド
スイートルームなどに置かれる大型のベッドです。
サイズは194㎝×195㎝と、ほとんど正方形に近い形状をしています。
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周辺器具
続いてベッドに関係する器具・用具を紹介します。
・ベッドスプレッド
ベッドにかぶせるカバーです。
「ベッドカバー」というホテルもあるかもしれませんが、ベッドカバーは和製英語であり、正しくはベッドスプレッドと言います。
埃よけ、保温、装飾などの目的で使われます。
・ベッドスカート
ベッドの脚元部分を覆う布です。
ベッドの隙間からゴミなどが入らないよう保護する目的がありますが、高級感を出すためのインテリアとして使われることも多いようです。
・ベッドテーブル
ベッドに寝転んだまま、あるいは座ったままで使えるようにできているテーブルです。
ベッドの横にあるサイドテーブルとは違います。
「入院患者がベッドでご飯を食べるときに使うテーブル」と言えばイメージしやすいでしょう。
・ベッドパッド
マットレスの上に敷く薄いパッド状の敷布団です。
保温や柔軟性の調整、汚れ防止などのために使われます。
リネンや布団
ベッドメイクのときに必ず触るのがリネン類や布団です。
一口にリネンや布団と言っても様々なタイプのものがあるので、ここでまとめて紹介します。
ベッドシーツ
形状としては以下の5パターンに分かれます。
・フラットシーツ:単なる布状
・ポケットシーツ: 1辺に穴が空いて袋状になったもの
・ファスナーシーツ:1辺にファスナーがついており、そこを開いて布団を入れるもの
・ボックスシーツ:開口部に大きなゴムがある袋になっており、マットレス全体を覆って最後に開口部をマットレスの裏側に持っていくもの
・フラットシーツ:ボックスシーツの薄いバージョンで、マットレスではなく敷布団に用いるもの
素材としては以下のものが代表的です。
・綿:一般的な素材で吸湿性があり肌触りも良いが、品質に大きな差がある
・麻:リネン、ヘンプ、ラミーなどがあり、リネンは繊維が細くて肌触りが良く、冷感素材としても使われる
・絹:光沢があり高級感があるが、吸湿性に乏しく蒸れることも
・ポリエステル:吸湿性が悪いものの、安価で丈夫であり、様々な用途に応じた加工品がある
・レーヨン:肌触りと吸湿性が良いが、水を吸って縮みやすくシワができやすい
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デュベスタイル
高級ホテルで採用されることが多いですが、一部のビジネスホテルにも広がりを見せているタイプの寝具です。
羽毛が入った布団をポケット状のカバーに入れたもので、掛け布団として使います。
カバーは羽毛布団よりも足元がかなり長くなるように設計されており、余った足元部分をベッドのマットレスの下に折り込んでベッドメイクします。
カバーの頭側の側面には小さな穴があり、ベッドメイクする人や寝る人はその穴から手を入れて、羽毛が入った布団の位置を調整することができます。
布団の種類
布団は主に素材で分類され、一般的に以下のような種類があります。
・羽毛布団
鳥の羽根が入った布団のうち、50%以上を水鳥の胸元の毛「ダウン」が占めているものを羽毛布団といいます。
吸湿性と放湿性、そして保温性が高いという多くのメリットを持っています。
それほど頻繁に干さなくても問題なく、丸洗いが可能なのでメンテナンス性にも優れています。
軽いという特徴がありますが、上に物を載せるとすぐに潰れてしまって放湿性が弱くなる特徴があるので、通常は掛け布団として使われます。
質の良い羽毛布団は畳んでも膨らんで元に戻ろうとする性質が強いため、収納スペースに難儀するというデメリットがあります。
・羽根布団
鳥の羽根が入った布団のうち、50%以上を羽根に軸のある「フェザー」が占めているものです。
掛け布団として使われますが、羽毛布団と違って重く、保温性が低いです。
また、羽根に軸があるため触った感じが滑らかではなく、気になって寝にくい人もいるかもしれません。
羽毛布団に比べると安くて質の良くないものが大半ですが、名前が似ているので間違って入手する人もいます。
・綿布団
中に綿が入った布団です。掛け布団にも敷布団にも使われます。
保温性と保湿性に優れており、丸洗いが可能。湿気を吸いやすいため、定期的に干さないと内部にカビが生えることがあります。
・羊毛布団
中に羊毛が50%以上入れられている布団です。
放湿性に富み、蒸れに強いのですが、重くて弾力があるため敷布団として用いられることが多いです。干す頻度は低くても問題ありませんが、洗濯は業者に依頼する必要があります。
・化繊布団
中身が化繊の布団です。
軽くて丈夫ですが吸湿性と放湿性が悪いため、布団として使うと暑くて寝苦しいという欠点があります。
蒸れてダニやカビの温床になることがありますし、摩擦熱で発生する静電気がチリやホコリを寄せ付ける特性もあるので注意が必要です。
・その他
羊毛と化繊を混ぜたり、綿と化繊を混ぜたりした布団もあります。
純粋な羊毛または綿の布団よりも安価ですが、化繊のマイナス面もあるので注意しましょう。
ベッドメイクのスキルと知識を身につけよう
ベッドメイクの技術を身につけるのは当然ですが、寝具に関する知識も覚えておけば、客室清掃のときに役に立つかもしれません。
ベッドメイクは客室清掃において非常に重要視されるものなので、早く正確に、そして美しくこなせるように練習してください。