人材不足に景観破壊…。観光地が抱える「ゴミ箱問題」とIoTなどの対策
2020.06.26
業界コラム
不法投棄やいたずら防止のため、昔はコンビニや公園などに当たり前のように設置されていた「屋外用のゴミ箱」が姿を消しつつあります。一方、近年、国内外から観光客が急増している観光地では、屋外のゴミ箱をめぐるトラブルが頻発しています。今回は、観光地で起こっているゴミ箱に関わる諸問題とIoTを活用した解決への取り組みを紹介します。
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日本全国で増えている「観光地のゴミ問題」ですが、そのなかでも特に顕著なのは沖縄と京都です。どちらも日本有数の観光地で、海外からの観光客も右肩上がりに増加中。それに伴って、以下のように観光客が出すゴミの問題が顕在化しています。
■ゴミ箱をめぐる問題
・ゴミのポイ捨てによる景観破壊
・ゴミ箱が溢れてしまい、臭いなどが発生する
・ゴミ回収のスタッフが確保できない
・民芸品店などの店舗にゴミが捨てられる
・スタンド型の飲食店で発生したゴミが観光外に捨てられて苦情の原因になる
・行政によるゴミ回収のペースが間に合わない
・ゴミ回収を業者に委託する費用がない
観光地の景観破壊、衛生不良、クレームにつながるなど「ゴミを回収できない」ことから発展するデメリットは非常に大きいことが分かります。また、京都の嵐山では観光客にゴミ袋を持って観光してもらう取り組みを始めましたが、残念ながら定着しませんでした。このまま現状を放置しておくと、リピーターの減少や観光地そのものの価値が低下する恐れがあります。そこ注目されているのがIoTを活用して「ゴミ箱の絶対数が少ない」、「ゴミ箱の回収が非効率」、「観光地の衛生管理の人材、予算不足」など環境面から整備する方法です。
ゴミ箱×IoT。ゴミ箱の残容量、回収状況が一目でわかる!
IoT(Internet of Things)とは「モノのインターネット」という意味で、インターネットを経由して様々なモノの情報をつなぐことを指します。基本的にはIoTでは「モノを操作する」、「モノの状態を知る」、「モノ同士で対話する」という3つが実現できるとされており、2番目の「モノの状態を知る」という機能をゴミ箱に搭載することでより効率的なゴミ箱の設置やゴミの回収に役立てようとする動きが広がっています。
大手通信会社などがすでに実証実験を始めており、ゴミ箱や衛生用品メーカーのテラモトもIoTを活用したゴミ箱の監視サービスをスタートしました。大まかな仕組みについて解説しましょう。
まず、各ゴミ箱にセンサーを設置し、ゴミの堆積情報を常に監視します。センサーは堆積だけではなく、臭気や熱なども感知し、一定の基準を超えるとアラームを発信します。そのアラームは清掃員や管理者が持つタブレットに表示され、優先的に回収することが可能になります。またデータを蓄積することで、より効率的な回収ルートやゴミ箱の設置場所も判別できるようになります。
このようにIoTを活用することで、ゴミ回収の「人手不足の解消」と「作業効率化・業務改善」、「品質安定」につながると期待されています。
まだ各社ともIoT×ゴミ箱の取り組みは始まったばかりですが、このような取り組みは今後もますます活発になると予想されています。
テラモトの新たな取り組み「IoT×ゴミ箱」に期待
テラモトは駅や病院、空港、公共施設などの大量のゴミが発生する施設やエリアに独自のノウハウで製造したゴミ箱を設置させていただいています。その新たな取り組みとして2020年から「IoT×ゴミ箱」のサービスも開始しました。様々な機材・備品開発と最新技術を活用し、イノベーションを支えるサポーター企業としてチャレンジし続けます。