できる客室清掃のコツ!マットレスを長持ちさせるベッドメイクの方法とは
2020.04.01
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客室清掃の最も重要な業務と言っても過言ではないのが「ベッドメイク」ではないでしょうか。ベッドメイクは客室の印象や清潔感に直結するので、どれだけ素早く、効率的で美しく仕上げるかは客室清掃員の腕の見せ所でもあります。
そのベッドに欠かせないけれど、布団やシーツに隠れてしまいがちなものが「マットレス」です。
今回は、客室清掃員であれば知っておきたい、マットレスの役割とメンテナンスの方法について解説します。
ベッドに欠かせないマットレスの種類と特徴
まずは当たり前のようで意外と知らないマットレスについて、役割や種類などの基本的なポイントを紹介します。
マットレスとは
マットレスとは、ベッドの上に設置する敷布団のことです。マットレス自体が敷布団の役目を果たすので、海外やホテルでは基本的にマットレスの上に敷布団は敷きません。一方、日本では床に直接、敷布団を敷く際に用いられる布団用のマットレスも多く利用されています。
マットレスの多くは「スプリング層」を挟むようにクッション層とキルト層を重ねた構造をしています。それぞれの層の役割を以下で簡単にまとめました。
■マットレスの構造
・スプリング層
文字通り、「スプリング(バネ)」が配置されています。マットレス独特の弾力はこのスプリング層の並び方や種類によって異なります。
スプリングの並び方と種類は、各コイルを連結し体を面で支える「ボンネルスプリング」。各コイルが独立して体を点で支える「ポケットコイルマットレス」。一本の銅線からなる「高密度スプリングマットレス」は、断熱性や通気性に優れています。
ホテルなどの客室のベッドのほとんどは、上記のいずれかのマットレスが設置されていますが、特に寝心地が良く丈夫な「高密度スプリングマットレス」が採用されることが多いです。
高密度スプリングマットレスは、他の2種と比べると硬めの感触で、敷布団に近い感覚で横になれます。
・クッション層
コイルの上下を挟む層です。保湿や吸湿などを担う部分で、金属製のコイルなどが直接体に触れないようにしています。
・キルト層
マットレスの部位の表層部分で、唯一肌に触れる機会があります。ホテルではキルト層の上にさらにシーツを被せることが多いですが、シルクやニット生地が使われているのでそのまま横になることもできます。
ウレタンマットレス
金属製のスプリング層を使わずにウレタン素材のみで作られた「ウレタンマットレス」も日本では、主に家庭用のマットレスとして広く流通しています。
ウレタンマットレスは反発の程度によって「低反発マットレス」、「高反発マットレス」に分けられます。
いずれも金属製のマットレスと比べると安価でコストパフォーマンスに優れる一方、後述する「ベンチレーター」が無いため、通気性が悪くカビなどが生えやすいというメリットもあります。
マットレスと敷布団の違い
マットレスは敷布団と比べると弾力性や復元性が高く、重心を分散させられるのが大きな特徴です。
敷布団ではベッドの木製の底の感触が気になる人も、より分厚いマットレスを活用することで快適な睡眠を得られます。
日本では畳の上で寝る習慣があったため、日常生活で金属製のマットレスが使われる機会はそれほどありませんでした。
しかし、フローリングやベッドの普及とウレタンマットレスの登場によって、「敷布団の下にマットレスを敷く」という使い方も一般的になりました。
客室清掃で使える!マットレスのメンテナンス
次にマットレスのおすすめのメンテナンスの方法について紹介します。マットレスをメンテナンスする目的は、カビやダニの発生を防ぎ、マットレスをより長く快適に使える状態を保つことです。客室清掃時はもちろん、自宅でも使えるのでぜひ実践してみてください。
マットレスのメンテナンスのポイント1:横面をチェック
まずは、マットレス自体の耐久性や通気性を確認するために、マットレスの横面に小さな穴が空いているかチェックしてみましょう。
金属製のスプリングを使用しているマットレスでは、ほとんどの場合、通気性を向上させるためお空気孔「ベンチレーター」が空いています。
ベンチレーターは、寝返りを打つたびに内部の空気を入れ替える機能を持ち、マットレス内部の湿度、温度を一定に保ちます。ベンチレーターのおかげで睡眠中に発生する大量の汗によるカビやダニの発生を防ぎ、マットレスそのものの寿命を延ばすことができるのです。
ベンチレーターが空いていない場合は、管理者などにマットレスの除湿機能などについて質問してみましょう。もし、他の機能で除湿機能が補えていない場合は、メンテナンスの頻度を上げるほか、除湿シートを設置する必要があります。
マットレスのメンテナンスのポイント2:マットレスの上下を反転させる
除湿機能や通気性が良いとはいえ、マットレスの下の面は汗などでカビが生えやすい環境下にあります。
見えない部分とはいえ、カビが生えてしまうとマットレスの寿命が縮むだけではなく、隠れたクレームの原因になってしまいます。
マットレスは上下ともに使えるタイプが一般的なので、一定の頻度で反転して使用することをおすすめします。
客室清掃の度に入れ替えるのがベストですが、ホテルのマットレスは10kg以上するものも珍しくありません。客室清掃員の各自の判断で行うのは、負担が大きいので管理者の協力のもと無理のないペースで、複数人体制で上下を反転する作業を行うフローを構築しましょう。
マットレスのメンテナンスのポイント3:マットレスの手入れは掃除機と乾拭き
マットレスは汚れやゴミを取り除く場合は、掃除と乾いた雑巾を使いましょう。掃除機は床掃除用で構いませんが、専用のノズルが付けることでよりスムーズに吸い取れます。
また、黒ズミやシミなどを見つけた際は乾拭きに洗剤を付けてふき取りましょう。水拭きしてしまうと、その水分が原因でベッドフレームにカビなどが発生してしまうことがあります。
どうしても水拭きしなければならないときは、エアコンの風や換気などを行い、できるだけ早く乾かしましょう。
マットレスのメンテナンスのポイント4:天日干しはNG
ホテルではそれほど多くありませんが、マットレスを天日干しすることでカビや殺菌を行う人がいます。実は、マットレスの天日干しは布団と違い「生地がいたむ」、「労力のわりに効果が薄い」というデメリットがあるので、推奨されていません。
客室清掃においては、窓越しに日光を当てることもありますが、晴天の直射日光でないと大きな殺菌作用は期待できません。それよりもマットレスを壁にかけた方が、下面を空気に触れさせてカビの発生を防げるので労力が少なくおすすめです。
ベッドメイクの際は、マットレスにも注意しよう
リネンやアメニティのように、マットレスは頻繁に入れ替えできる寝具ではありません。
しかし、ホテルに使われているマットレスは高級なタイプが多いため、寿命を延ばすメンテナンスは定期的に行う必要があります。
できる客室清掃員を目指す人は、ベッドメイクの際にマットレスの種類や特徴を把握し、都度、適切な方法でメンテナンスするように心がけましょう。