リネンスタッフと客室清掃員の違いとは?リネン管理の業務について
2020.03.25
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客室清掃やホテル清掃と切っても切れない関係なのが「リネン」ではないでしょうか。ベッドメイクやリネンの回収・クリーニングなど、清掃の効率化や品質にはリネンが大きく関わります。今回はホテルを中心に病院や介護施設などのリネンに関連する業務とそのポイントをまとめました。
各施設によって詳細は異なりますが、基本的な知識としてポイントを押さえてください。
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意外と多いリネンに関わるホテルの仕事
まず、リネン管理においてリネンのクリーニングを「外注に委託しているホテル」と「すべて内製で行っているホテル」があることを覚えておきましょう。
また、リネンの管理を行う「リネンスタッフ」とベッドメイクや客室清掃を行う「客室清掃員」は、実はそれぞれの定義はありません。
リネンスタッフと客室清掃員のどちらもリネンの回収や交換など、業務範囲が重なることが多いのでホテルによって名称などが異なります。まずは自身の職場で、リネンを扱う人たちがどのように呼称されているかを確認してみてはいかがでしょうか。
ホテルにおける代表的なリネンの仕事が「ベッドメイク」です。ベッドメイクでは、前泊客が使用したリネンの回収・交換を必ず行います。回収したリネンは、外注、もしくはホテル内でクリーニングすることになります。その後、クリーニングされたリネン類はリネン室で適切に保管され、古いリネンと交換されるという流れを繰り返します。
また、リネンはホテルだけとは限らず特には宿泊客の衣類をクリーニングすることもあります。それぞれの詳細を以下で解説していきましょう。
リネンの回収・交換業務
客室清掃のスタッフにとって、最も馴染み深いのが客室のリネンの回収・交換ではないでしょうか。回収する代表的なリネンを以下で確認してください。
■客室で回収するリネン
・タオル(数種類)
・シーツ
・ガウン
タオルには、バスタオルやハンドタオルなど数種類が含まれます。回収したリネンは、種類や汚れの程度によって分類してクリーニングします。ビジネスホテルではクリーニングは外注が基本ですが、海外には自前のクリーニング室を備えているホテルもあります。クリーニング後のリネン類のチェックも重要な業務の一つ。「生地の傷み」、「ほつれ」、「シミ」のほか「におい」なども確認します。特にベッドシーツの洗濯漏れはクレームに直結しやすいため、交換時には徹底的に確認しましょう。
枕やベッドのシーツ交換は、客室清掃員の腕の見せ所です。より素早く、美しく仕上げることで客室の清潔感の向上につながります。
また、リネン交換で大きな負担なのが、回収したリネンの運搬です。一部屋ずつリネン管理室に運ぶのは非常率ですし、重なるとそれなりの重量になるので清掃スタッフの負担が大きくなってしまうのです。
そのような課題を解決するために、近年、リネン回収・交換用のワゴンに注目が集まっています。
例えばテラモトの「ホテルリネンワゴン」の場合、シックなブラウンでスマートな形状をしていますが、新しいリネンを各種、大量に持ち運び可能。さらに回収用のワゴンと連結できるので、リネン交換作業の省力化・効率化を実現できます。詳しい情報は以下をご覧ください。
※関連ページ:テラモト「ホテルリネンワゴン」
リネン室の管理
リネン室を設けている宿泊施設で、リネンに関わる業務を担うスタッフを「リネンスタッフ」と呼ぶことが多いです。
リネンスタッフの業務範囲はホテルによって様々で、一般的な客室清掃やクリーニングに特化した業務を行うこともあります。また、リネン室の設備もホテルによって大きく変わります。
後述する「バレッドリーサービス」を提供しているホテルでは、ランドリーやアイロン、乾燥機などが設けられていることが多いです。一方、短期的な宿泊客が多いビジネスホテルでは、単純にリネン類を保管するための部屋として使われることもあります。
リネン室ではカバーやシーツ、タオルなどのリネン類を管理します。リネン室の管理で求められる最も大きい業務は「整理整頓」です。適切な場所に常に清潔なリネンを配置しておくことで、リネン交換や客室清掃をスムーズで効率的に行えます。これはホテルでクリーニングを内製しておらず、外注に委託している場合も同様で、リネン室はリネンスタッフによって管理されているのです。
宿泊客の衣服のクリーニング
客室清掃と直接の関わりは薄いですが、宿泊客のクリーニングサービスを行っているホテルもあります。
いわゆる「バレッドサービス」や「クリーニングサービス」で、「バレッドリーサービス」は、長期滞在客向けに衣類を一時的に預かって洗濯するサービスです。一般的に高級ホテルやリゾートホテルの長期宿泊者向けに提供されています。
また、「クリーニングサービス」にはバレッドサービスのほか、宿泊者自身がホテル内にあるランドリーを使って洗濯する「ランドリーサービス」も含まれるので、清掃スタッフは事前に自分の職場がどのタイプのクリーニングサービスを提供しているのか確認しておきましょう。
クリーニングサービスを依頼する際は、フロントに連絡、指定のボックスに衣類を入れるタイプなど様々です。後者の場合、宿泊客の衣類回収が客室清掃員の業務になるケースがあることも覚えておきましょう。その際は「下着はクリーニングできない」などのルールに則って回収することになります。
ホテルスタッフの制服などのクリーニング
リネン室があるホテルでは、フロント・清掃スタッフの制服やユニフォームを自前でクリーニングすることがあります。
また、ユニフォームのほかにも掃除用のウエスやクロス、ナプキン、カーテンなどもクリーニングの対象です。油汚れの多いキッチン、汚れている掃除用具、きっちりとアイロンがけまで必要な制服・ユニフォームなど洗濯物の種類と量は非常に多いです。それぞれを分類して効率的にクリーニングすることが求められます。
ホテル以外の「リネン管理」とは
ホテル以外にもリネン管理を行っている業界があります。その代表的な業界が「医療・介護業界」です。患者や高齢の入居者が対象なので、両業界とも厳しいリネン管理を行っています。
例えば医療現場のリネン管理では、リネンカートを「汚染」と「清潔」を別々に運搬し、清潔なリネンを運ぶカートには、蓋や覆いをすることが推奨されています。
清潔リネンの管理も徹底されています。清潔リネンは専用の保管室やキャビネット、もしくはカバーをかけたカート内に収めることが多く、汚染リネンを清潔リネンや衛生用品の付近に置いてはいけません。
また、リネンの洗濯の基準も設けられており、米国疾病管理予防センター(CDC)推奨の洗濯条件では「温水での洗濯は71度以上の熱水で25分以上」、「低温水(70度未満)では、正しい濃度で最適になる洗剤を選ぶ」とされています。
ちなみに日本の厚生労働省が推奨している洗濯条件は「洗濯洗剤+80度以上で、10分以上」です。
リネンを扱う仕事は体力と判断力が必要
リネンスタッフ、客室清掃のどちらも作業のスピード感と確実性が求められます。
また、リネン類は一枚だけなら柔らかく軽いですが、リネン管理やベッドメイクでは体力が必要になることも珍しくありません。
ホテルリネンワゴンなどで負担をやわらげつつも、日々の業務でスキルアップを目指してください。
※関連ページ:テラモト「ホテルリネンワゴン」