客室清掃員が心がけるべき3のマナーと「美しい清掃の姿勢」とは
2020.07.02
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客室清掃員には清掃の技術はもちろん、ホテルスタッフとしてのマナーや立ち振る舞いが求められます。
SNSや口コミサイトの普及によって利用者の目がより厳しくなり、情報が拡散されやすい現代だからこそ、客室清掃員は普段の姿勢やマナーを含めてプロとして評価され、信頼されなければなりません。
今回は、これだけは押さえておきたい3つのマナーと美しい清掃姿勢をつくるポイントについて解説します。
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クレームの一因になる客室清掃員のマナー
まず、マナーには「安心」と「信頼」そして「自分を守る」という3つの役割があることを覚えておきましょう。
例えば、身だしなみ、お辞儀の角度、言葉遣いなど基本マナーが出来ていないと他人に視覚印象な不快感を与えてしまいます。そうするとその人は「不安」を感じてしまい、クレームの原因になることがあるのです。客室清掃員が気をつけなければならない具体的なシーンは、以下の通りです。
廊下で固まって話している姿に不快感を覚えた
利用者にとっては、清掃員もフロントも同じです。
「見ていないだろう」、「少しくらいなら大丈夫……」という気のゆるみから生まれるちょっとした私語などが、クレームのきっかけになることを理解してください。
香水の匂いがして気分が悪かった
人は想像以上に匂いに敏感で、特に客室に入った直後の香りはとても気になるものです。
客室清掃員の香水の匂いが残ってしまい、クレームにつながった事例もあります。匂いは壁やカーテンなど残りやすいため、清掃が行き届いていても不快となるもの。香りもマナーと覚えておきましょう。
客室清掃員に相応しくない姿をしていた
香りと同じで、どんなに綺麗な部屋でも掃除をしている人が不衛生な印象だと、それだけで嫌な気分になります。
人は働く人の印象で、働く現場の価値を決めています。最低限の身だしなみに気を配ることも、働く上での大切なマナーです。
マナーの役割の一つ目の「安心」とは、利用者に「自分はここにいても(利用しても)大丈夫」だと感じさせることです。
「通路を塞いで申し訳ありません」といった一言、目線を合わせて笑顔をもらえると、受け手側の印象は変わります。
世界的に有名な「新幹線の清掃(テッセイ)」とは
世界的に有名な日本の清掃員「テッセイ」を知っているでしょうか。
東京駅などで新幹線に乗ると、一列に並んでお辞儀をする女性たちの姿を見かけます。
「清掃を通じて姿勢を正し、心を整えるは日本の文化と教育の神髄の一つ」という言葉を目にした人もいるでしょう。
テッセイは1両を一人で担当し、たった7分で清掃作業を完了するといわれています。どんなに現場が汚れていても7分以内に完璧に仕事を終えて、さらに「おもてなしマナー」もこなす姿は業種は違うとはいえ、客室清掃員も大いに参考になるのではないでしょうか。
また、なぜテッセイはわざわざお辞儀をするのでしょうか。
それはマナーに役割2つ目「信頼」に繋がるからです。利用者に見えないなかで行う短時間の清掃で生じたかもしれない「不安」に対して、お辞儀で余裕を感じさせることで信頼と安心を作るのです。
同時にJRブランドという価値を作り上げています。
相手の立場に立った思いやりが重要
客室清掃員が高校生の利用者に「もしかして受験生?頑張ってね」と声をかけたことが、好印象になったという事例があります。
どれだけ作業忙しくても、身だしなみ、笑顔、お礼、利用者へ軽い会釈のほか、すれ違いなどで利用者へ笑顔と優しい心づかいだけで、非常に良いイメージを与えられるのです。
マナーは様々な場面で変化しますが、相手を思いやった丁寧な対応は「安心」を与えるという基本は変わりません。そのことを忘れないようにしましょう。
客室清掃員が身に付けるべきマナーとは
マナーは「視覚から伴う印象」と「内面から伴う心」で構成されています。。
視覚から伴う印象とは、身だしなみや立ち振る舞いのことで、実は、清掃という行為そのものも、お辞儀と同じ「視覚から伴う印象」のマナーなのです。
一方、心とは感謝やもてなす思いやりを指します。例えば「受験生に頑張ってね」、「通路をふさいで申し訳ない」、「利用者に負担をかけない」、「不快を与えない」という心は内面から外へと現れます。
この両者を満たす行為を行うことで、相手に「安心」と「信頼」を与えられるのです。
客室清掃員が心がける業務の意識
安心や信頼は短期間では作れるものではないと思われがちですが、日々の心と立ち振る舞いで一生分の価値を生むこともあります。
例えば、美しい姿勢とマナーを守っていたおかげで、内心は疲れて気が緩んでいても「それでも頑張っている」という評価につながることがあるのです。
これまで説明してきたように、正しいマナーは「安心」と「信頼」を与えます。さらにそこに「美しい姿勢」を心がけるだけで、客室清掃員のとしての評価は大きく上がる可能性があることを覚えておきましょう。「心」と「マナー」、「仕事に対する姿勢」はワンセットなのです。
客室清掃員が美しく見える掃除の姿勢
仕事の姿勢で大切なポイントは「魅せる姿勢=見られる姿勢」で、この考え方はマナーの役割三つ目である「自分を守る」につながります。
自分を守るとは、利用者からの理不尽なクレームへの防御です。利用者は宿泊先に、安心と信頼を求め、それが約束されていることが前提で利用しています。
その期待されている安心と信頼を守るからこそ、働く人は守られるのです。自分を守るためにモデルや展示会コンパニオンの作法で、皆さんが使える「美しい姿勢=見せる(魅せる)姿勢の作り方」を真似てみましょう。
実践してみよう。モデルが清掃しているような立ち姿
5ステップに分けて理想的な姿勢をつくる方法を紹介します。実際にモデルも使う美しい姿勢なので、ぜひ一度試してみてください。
1.壁に背をつけまっすぐ立つ(拳一つは入る空間をあけて)。
2.そのままの立ち姿勢で、1~2歩前に出る。
3.足のかかとをつけて、つま先を45度開き、そのまま膝を曲げて腰を軽く落とす(背筋は伸ばしたままで中腰の姿勢)。
4.その姿勢をキープしてつま先を閉じ、膝をくっつけたらそのまま立ち上がる。
5.肩を大きく後ろに3回腕を回します。そのまま手を自然におろす。
これが正しい立ち姿勢です。ふらついたり、足が痛い方はO脚の可能性が高く、腰が痛くなる人は普段の仕事を姿勢が悪い可能性があります。
「モデルは腰から歩き、素人は膝で歩く」というほど、正しい立ち姿は体の使う部分が大きく異なるのです。
まずは外出前や現場に出る前にこの基礎姿勢を確認して、少しずつ身に付けてください。
O脚や腰の痛みの改善・バイト先のズボンが落ちた(ウエストダウン)を実現した人もいます。
誰もが心地良い空間を作り上げるために
マナーといわれると面倒に感じますが、自分を守り評価につながるものと考えてみましょう。無意識にマナー・心・魅せる姿勢を取れるようになったとき、それは結果として現れます。
もし「頑張っているのに評価されない」、「注意される」、「クレームが多い」と悩んでいる人がいれば、マナーと心、姿勢の何かが欠けていないか自分に問いかけてみてください。
少しずつ意識して改善することで、これまで以上に「できる客室清掃員」にステップアップできるかもしれません。