TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

駅・空港・商業施設など。社会インフラをIoTでつなげる「スマートシティ」とは
2020.09.09 業界コラム

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最近は各メディアで「スマートシティ」という言葉を目にする機会が増えてきました。インターネットの活用によって暮らしが便利になると期待されていますが、実際には生活がどのように変化するのでしょうか。IT分野に疎い人はイメージしづらいでしょう。

また、「スーパーシティ」という似たような言葉もあり、正確な定義がわからない人もいると思われます。今回はスマートシティの概要について、各国での具体的な導入例を交えつつ解説します。インフラを強化するにあたり、今後欠かせない概念なのでぜひチェックしてみてください。

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スマートシティとは

スマートシティとはIoTなどの最先端の情報技術を用いて、交通・観光・防災・健康・医療・エネルギー・環境などの、あらゆる社会インフラを効率化する都市または地区のことを指します。ちなみにIoTとはモノとインターネットを繋ぐ概念のことで、インターネットを介してモノの状態を把握するほか、遠隔操作することができる仕組みです。例えば外出先から部屋の温度を確認やエアコンの強弱を調整などはIoTにあたります。

このように生活を便利にするためにIoTをはじめとした最先端の技術を活用した便利な社会こそスマートシティなのです。更にスマートシティでは、自動運転技術やロボットによる業務自動化、キャッシュレス決済の普及、CO2削減なども実現される予定です。人類にとって重要な概念であり、今後は国内外でスマートシティ化が加速すると考えられています。

一方で、スマートシティ化によって様々な情報を収集することを懸念する声も散見されます。なぜならば、サイバー攻撃の被害を受けた際のセキュリティリスクが存在するからです。例えば個人情報の漏洩などには十分な防止対策が講じられるべきでしょう。

しかしながら、日本では少子高齢化や過疎化に起因する働き手不足が深刻なので、スマートシティの実現によって業務の効率化を図ることは重要だと言われています。働き手不足は日本全体の問題なので、社会インフラに携わる全業界にとってスマートシティはその解決策として注目すべき考え方なのです。

2020年5月に成立!スーパーシティとスマートシティの違い

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2020年の5月にスーパーシティの実現を促進するための法律である「スーパーシティ法」が成立しました。前述のスマートシティと混同しがちなスーパーシティですが、その概念は微妙に異なります。最先端技術によって人々の暮らしをより良いものにしようというコンセプトはそのままに、以下の3点がスマートシティとは相違しています。

1.エネルギー・交通などを個別にスマート化するのでなく、複数領域にまたがってスマート化を進める。
2.最先端技術の進化よりも、住民が抱える課題を解決することを目的として技術を導入する。
3.住民が参画し、住民目線でプロジェクトが進む。

これらの相違点をもとにスーパーシティについて大まかに説明するとこのようになります。「IT技術の追求そのものには固執せず、住民の生活をよりよくするという目的に原点回帰し、その上で住民および都市・地域が抱える問題にアプローチするという、より実践的なプロジェクト」。

要するにIT技術の進化が目的化してしまったとされる「スマートシティ」から脱却することで住民にとって劇的に便利な暮らしを実現するとされるのが「スーパーシティ」なのです。
そしてこのスーパーシティが完成した場合には以下のような暮らしが実現すると予想されています。

■スーパーシティによる「新しい暮らし」の例
・遠隔教育の導入によって子供たちが海外の子供と交流し、ネイティブな英語を習得
・自動ゴミ回収車が自宅の収集ケースからゴミを回収
・好きな時間に自動運転車を配車可能
・医療や介護が在宅で可能
・決済が全てキャッシュレス化
・生活必需品は購入履歴に従って自動配送

個人情報の取り扱いなど課題は山積みですが、利便性の向上は期待してよいかもしれません。

※出典:スマートシティ官民連携プラットフォーム事務局「スマートシティ官民連携プラットフォーム

スマートシティでつながるインフラ1:駅

駅のトイレにIoTを導入している事例があるので紹介します。近鉄奈良駅のトイレは混雑状況が駅構内のディスプレイに表示されるようになっています。実際のディスプレイには空室、予想待ち時間などが日本語、英語の両方で表示されます。更に混雑時は満室のトイレでなく、空室がある方のトイレの地図情報に切り替わるシステムを備えています。このように利用者の満足度を上げる機能があるのです。一般的にトイレのIoT化は下記のメリットをもたらすと言われます。

■トイレのIoT化のメリット
・トイレの清掃効率の向上
・トイレでの事故を早期発見

つまりトイレの利用について、管理側と利用者の双方に利益があるのです。トイレにセンサーを取り付けることで管理側はトイレの利用状況が把握でき、必要な時に最低限の人員でトイレを清掃や利用時間が長い時には異変を感知できます。一方、利用者はスマートフォンや駅内のディスプレイで空室状況がわかるので無駄な混雑を避けることができます。

スマートシティでつながるインフラ2:空港

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空港にIoTを導入することで、例えば以下のようなメリットが期待できます。

■空港のIoT化のメリット
・荷物コンテナ運搬車を必要なタイミングで必要な場所へ配置できる
・整備士の作業エリアにおける動線を把握できる

これらはNEC(日本電気株式会社)が羽田空港で行った実証実験で報告されています。荷物コンテナ運搬車は広大な敷地内で、なおかつ限られた台数で作業するため、効率的に配置する必要があるのですが、実験ではGPSデバイスを運搬車に設置することでリアルタイムの位置情報を把握できることが確認されています。
さらに、整備士を想定した実験担当者に、近くのものを無線でつなげる「BLEデバイス」を装着したところ、整備士の作業エリア(格納庫、事務所など)での動線が確認できました。これによって、ベテラン整備士の動線もわかるので、若手整備士の業務効率化やノウハウの獲得などが早まる可能性もあります。

スマートシティでつながるインフラ3:商業施設

商業施設は厳密にはインフラではないかもしれませんが、住民の生活に密接に関与するということで、ここではインフラと解釈します。商業施設にIoTを導入することで、例えば以下のようなメリットが期待できます。

■商業施設のIoT化のメリット
・来客者の歩行を電力に変換できる
・人の通行量データを取得し、解析できる

これらのメリットは、イギリスでのIoT導入事例で確認されたものです。イギリスのスマートシティ開発において、商業施設に「床発電パネル」が設置されました。これはパネル上を歩行者が歩くごとに発電する装置で、商業施設のLED照明の電力をまかなっています。また、通行量の計測も可能なので、場所・時間帯によって人通りがどのように変化するのかも把握できます。客足の傾向を知ることは商業戦略に重要なので、施設全体の利益を増加させるためのヒントを得られるかもしれません。

その他、商業施設のゴミ収集をIoT化すると、以下のようなメリットも予想されます。

■ゴミ収集のIoT化のメリット
・ゴミ収集業務が効率化される
・人員削減ができる

広い商業施設ではゴミ収集作業の負担が大きくなります。しかしながら、ゴミ箱にセンサーを付け、ゴミの堆積量が作業員のタブレットなどで確認できるようにしておけば、作業員は回収が必要なゴミ箱だけに向かうことができます。以上の様に、電力の節約、施設の利益増加、ゴミ収集の効率化など様々な面でIoTが活躍することが予想されます。

利便性が大幅UP!社会インフラにはスマートシティ化を

スマートシティは社会インフラの強化には欠かせない概念になってきています。スマートシティ化によってIT技術が生活に取り入れられ、人々の暮らしが便利になると言われています。また、その応用範囲は広く、駅・空港・商業施設への導入事例も存在し、一定の成果があがっているのです。まだまだ発展途上のプロジェクトではありますが、日本が抱える深刻な人手不足などの課題を解決する重要なツールとなってくれることでしょう。

※出典:コスト半減も夢じゃない!?ビルメンテナンス・清掃のIoTやロボット動向

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