世界最古のホテル(旅館)は日本にある!業界人は必見の世界と国内のホテルの歴史
2020.10.14
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モーテル、高級ホテル、旅館など、宿泊施設は姿形を変えて世界各地に存在し、旅行者や労働者など幅広い人々の生活を支えています。バラエティーやワイドショー、雑誌、ネットニュースで特集されることが多く、利用頻度が少なくてもとても身近な存在ですが、その歴史については詳しく知らない業界人も少なくありません。そこで、今回は日本のホテルを中心にその歴史と「ホテルの語源」など、成り立ちに関わりに周辺知識を掘り下げて解説します。明日から職場で披露できるトリビアをたくさん紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
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ギネスにも認定!世界最古の宿「慶雲館」
世界には数多くの由緒正しい宿がありますが、その中も最も古い宿として「ギネスワールドレコーズ(以下、ギネス)に登録されているのは、実は日本にあります。宿の名前は「慶雲館」といい、人口が日本一少ない町である山梨県早川町の山奥にひっそりと佇んでいます。開湯は西暦705年(慶雲2年)になります。「慶雲」は最初の「大化」から数えて5番目の元号であり、藤原鎌足の息子の藤原真人(定恵)によって開かれました。それ以来、湯治場として数々の皇族や歴史的な有名人が慶雲館を訪れています。その代表的な人物が、有名な戦国大名で山梨県を含む旧甲斐国を治めていた戦国武将「武田信玄」と、江戸幕府を開いた「徳川家康」です。1300年以上続いている慶雲館の源泉は一度も枯れたことがないというのも、驚異的ではないでしょうか。南アルプスの近くに位置し、上高地や日本で2番目に標高が北岳も望める自然豊かな旅館は今でも人気です。ちなみに、世界トップクラスに古い宿は慶雲館以外にもあり、兵庫県城之崎の「千年の湯 古まん」は西暦717年。石川県粟津温泉の「法師」は西暦718年とされています。このように、日本には世界と比較しても古い宿が数多く残っている国なのです。
ホテルの起源と語源
普段、当たり前のように口にしたり、聞いたりする「ホテル(hotel)」の語源は英語の「hospitality(ホスピタリティ)」やラテン語の「ホスペス(hospes)」とされています。中世ヨーロッパの十字軍や旅人が宿泊するための施設「ホスペスまたはホスピス」に由来して、ホスピタリス、ホスピターレという言葉が生まれました。その後、「おもてなし、客人の保護」という意味のホスピタリティとなり、それから派生しホテルという言葉が生まれたのです。以下で簡単に「ホテル」の言葉の歴史をまとめたので、チェックしてみてください。
■ホテル(hotel)の言葉の歴史
1.ホスペス(ラテン語)
※意味:中世ヨーロッパの教会が設立した宿泊所
2.ホスピタリス(ラテン語)
※意味:賓客への歓待
3.ホスピターレ(ラテン語)
※意味:ホスピタリスの名詞
4.ホスピタリティ(英語)
※意味:もてなしの心、厚遇
5.ホテル(英語)
※意味:洋式の旅館
ホスピタリスは「病院(hospital)」の語源にもなっており、ホテルも病院も昔は旅で病気にかかったり、怪我をしたりした兵士や旅人を保護していた「ホスペス」という同じ施設がおおもとになっているのです。
世界のホテル事業の始まり
充実したサービスや高級なインテリア、チェーン展開など現代のホテル事業の生みの親とされているのが、スイス出身で後に「ホテル王」と呼ばれたセザール・リッツです。世界規模のホテル「リッツ・カールトン」とも関わりの深い人物です。若き日のセザール・リッツは当時には珍しく顧客満足度を重視したイベントの数々を企画したほか、全客室にトイレとバスタブを史上初めて完備させるなど、ソフト・ハード面で従来のホテルのサービスやイメージを刷新。料理にも注力し、有名ホテルの料理人と協力しホテル内のレストランの質向上を図ります。さらに国際的な展開を図り、パリやロンドンなどヨーロッパ各地でホテルを建造していったのです。このような取り組みによって、ホテルの格式が向上し、現代の高級ホテルやリゾートホテルが成長していったとされています。
日本のホテルの歴史
日本で最初のホテルは、1860年に横浜の現山下町70番地に誕生した「ヨコハマ・ホテル」だとされています。きっかけはペリーによる1859年に横浜港の開港で、ヨコハマ・ホテルはオランダ人によって建造されました。ホテルには食堂のほか、ビリヤード室やボーリング室、レストラン、酒場など現代のホテルにも通じるような施設を設けられていました。ヨコハマ・ホテルには、クラークやシーボルトなど著名人が数多く宿泊したとされています。ヨコハマ・ホテルは現存していませんが、1870年に設立されたオリエンタルホテル、1878年の富士屋ホテル・1890年の帝国ホテルなど、今でも同時代に生まれた西洋風のホテルは高級ホテルとして残っています。
高級ホテルやシティホテルと同じくらい身近なホテルといえば「ビジネスホテル」ではないでしょうか。今でこそ、宿泊業界において欠かせない存在であるビジネスホテルですが、その歴史は浅めです。諸説ありますが、ビジネスホテルチェーンの法華クラブは1900年前半~中盤にかけて、低価格・個室のビジネスホテルの形態をいち早く取り入れたとされています。それでも1960~1970年代前半に建てられたビジネスホテルは、バス・トイレが付いていない洋室タイプがほとんどでした。転換機が訪れたのは、1970年代後半で、政府系の融資の条件が緩和されたことがきっかけで、ビジネスホテルが相次いで設立されました。そのなかで設備も充実し、現在のバス・トイレ付きのシングルタイプの客室が根付いたとされています。近年では、の宿泊施設としての地位を確立。企業による商圏拡大活動の活発化による地方出張や営業所、支店の設立などの煽りを受け、シティホテルや高級ホテル・リゾートを追い抜く勢いで設立されています。また、チェーン展開が多いのもビジネスホテルの特徴の一つです。
5Gがホテルを変える?未来のホテルのカタチとは
これまでホテルの歴史を振り返ってきましたが、これからホテルはどのような発展を遂げるのでしょうか。そのキーワードの一つが次世代高速通信「5G」です。IoTの活用によってフロントの完全無人化やロボットによる顧客対応などが注目されていますが、ホテルの在り方そのものも大きく変わるかもしれません。その1例がオーストラリアにある移動式のホテル「OPPO 5G」です。期間限定ではありますが、株価の動向、映画鑑賞、新聞を読むまで幅広く対応できる「スマートミラー」や仮装ARシステムを搭載。場所を選ばず、最新鋭のスマート機器を使って自分らしく生活を送れるのが最大の特長です。ホテルそのものが目的だったり、周辺の観光地や都市部への出張などの都合で宿泊するのが一般的ですが、最新の体験や場所を選ばない「自分らしい時間の過ごし方」がホテル選びの選択肢に加わる日はそう遠くないのかもしれません。
テラモトはIoTやホテル清掃分野で貢献
経営者や支配人、フロント・清掃スタッフまであらゆる関係者が、ホテルの長い歴史を支えています。テラモトもホテルを清潔に保つために欠かせない清掃道具のメーカーとして、ホテル事業に貢献しています。客室清掃の省力化・省人化を図るためのホテルリネンワゴンを製造・販売しているほか、最近、IoTサービスもリリース。ホテル業界の現在と未来をより明るく、豊かにするサービスを提供し続けます。