テレワーク時にも要注意。家庭内感染の防止に役立つ消毒・換気方法
2020.09.16
お掃除コラム
新型コロナウイルスの対策に関して、ここにきて家庭内感染のリスクが増大しています。今までは「夜の街」に用心すれば十分というイメージがあったかもしれませんが、感染経路が変化してきているのです。そこで今回は厚生労働省の指針に沿って、自宅で出来る消毒・換気方法について分かりやすく解説します。テレワークや外出自粛など、日常の変化が多く戸惑うことも多いかもしれませんが、これまでの努力を活かすためにも是非このコラムを参考にご対策ください。
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家庭内感染のリスクとは
新型コロナウイルス感染者の多い東京都では、東京都福祉保健局のホームページにて、感染経路を含む詳細なデータや専門家のコメントが毎週公開されています。これによると感染経路として家庭内感染が増加していることが分かります。具体的には8月4日から8月10日までの報告で、「同居する人からの感染」の割合の増加が観察され、全体の29.1%に上っています。それに次いで会食が16.7%、職場が16%、設置を伴う飲食店等が9.4%、施設が6.9%となっています。つまり、「夜の街」に注意するだけでは感染拡大は防止できないのが現状で、家庭内の感染対策が重要になってきているのです。また、これは東京都に限らず、例えば佐賀県などの地方都市でも同様に家庭内感染の増加が報告されています。そのため一人ひとりが自分事として対策する必要があるでしょう。
一方で、「本当にそこまでの対策が必要なのか」と考える人もいるかもしれません。確かに現時点(2020年8月時点)で諸外国に比べると日本の死亡率は高いとは言えないので、深刻にとらえきれない部分もあると思われます。しかし、基礎疾患を持つ人や高齢者に感染すると死亡率が高く危険であることは事実です。そのため高齢者と同居している世帯ではより一層の注意が必要でしょう。
経済活動と感染対策のバランスをとることは難しく、政府も国民も正解を求めて苦心するところでしょうが、少なくとも個人レベルでは「自分にできる最大限の感染症対策」を行うのが大切かと思われます。
※出典:東京都福祉保健局「8月12日時点のモニタリング項目の分析・総括コメントについて」
※出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症への対応について(高齢者の皆さまへ)」
家庭内感染を防ぐ8のポイント
厚生労働省のホームページでは一般社団法人日本感染学会の指針をもとに、家族に新型コロナウイルス感染が疑われる人がいる場合の対処法を紹介しています。ここでは紹介されているポイントに準拠しつつ、なぜその対処法が重要なのか根拠を加えて詳述します。
ポイント1:感染が疑われる家族と部屋を分ける
新型コロナウイルスは感染力の高いウイルスです。感染経路は飛沫感染(感染者のくしゃみ、咳、唾液などを介して感染)と接触感染(まず感染者がウイルスのついた手で物に触れ、非感染者がその物に触り、最後に口や鼻の粘膜につくことで感染)と言われています。そのため感染が疑われる家族との接触はできるだけ避けるようにしましょう。食事・就寝時も部屋を分けることが理想です。部屋数が少なく個室が用意できない場合は、2メートル以上の距離をとることや仕切りを用意することで予防できます。また就寝時に頭を互い違いにして寝るなど出来る限り距離を取りましょう。
ポイント2:お世話するのはできれば一人だけ
強い感染力を持つため、多人数で感染者のお世話をすると世帯全体にウイルスが広がるリスクが高いです。そのため、あらかじめお世話をする人を一人決めておきましょう。なお、高齢者や基礎疾患(心臓、肺、腎臓の持病や糖尿病)を持つ人は死亡率が高いので、若く健康状態の良い人が担当すると良いでしょう。その他、以下の条件に該当する人はお世話するのを避けてください。
・免疫が弱っている人
・妊婦
・乳幼児
ポイント3:マスク着用
ウイルスの拡散を防止するため、感染者と家族の両方がマスクを着用しましょう。新型コロナウイルスの蔓延当初には、マスクの感染予防効果に懐疑的な声もありましたが、最近の研究では異なる見解が報告されています。研究によるとマスクの着用が感染リスクの減少に寄与したり、無症状の感染者によるウイルス拡散を抑制する効果が確認されています。そのためマスクは常時着用し、手に入らないときもくしゃみをするときにティッシュで抑えるなどしてウイルスが飛散するのを防ぎましょう。また使用後のマスクにはウイルスが付着しているので、他の部屋に持ち出したりすると接触感染のリスクが高まります。マスクのゴム紐部分だけをつまんで外し、迅速に処分してください。マスクを取り外した時の手にはウイルスが付着しているので、石けんで手指を綺麗に洗ってください。
ポイント4:手洗い・うがいはこまめに
新型コロナウイルスは接触感染にも注意しなければなりません。具体的にはウイルスの付着した手指で目、鼻、口などの粘膜や結膜に触れて感染するリスクを避けなければならないのです。そのため、こまめな手洗いうがいやアルコール消毒で清潔な状態を保ちましょう。手洗いの仕方については厚生労働省、経済産業省、消費者庁のチラシにて以下のように推奨されています。
1.石鹸やハンドソープで10秒間もみあらい
2.流水で15秒間すすぐ
3.1と2をもう一回繰り返す
この手順によって手の残存ウイルス数を約0.0001%にすることができます。アルコール消毒液が手に入らないときでもこの方法で補完することが可能です。
ポイント5:定期的な換気
感染者がいる部屋もそれ以外の部屋も定期的に換気しましょう。ウイルスが漂っている部屋にいることは危険だからです。日中は窓を開けっぱなしにしたり、換気扇を回すなどして空気の通り道を作りましょう。一方で熱中症の懸念もあるので、必要に応じて窓を開け閉めしましょう。大手清掃企業の専門家によると「1時間に10分程度」の換気が目安だそうです。
ポイント6:共用部分は消毒して清潔に
取っ手、ドアノブなど感染者が触れる共用部分を消毒します。消毒に使うのは塩素系漂白剤を水で薄めたものです。希釈の方法は、メーカーのホームページなどにありますので、記載されている注意点や手順を遵守し、使用してください。なお、塩素系漂白剤はアルコール類と異なり人体に有害なので、手指の消毒には用いないよう注意してください。
ポイント7:リネン・衣服は洗濯する
新型コロナウイルスは糞便から検出される場合があります。汚れたリネン・衣服は洗濯するようにしましょう。洗剤は一般的な家庭用洗剤で問題ありません。なお、リネン・衣服を扱う際に手袋とマスクの着用を忘れないようにしてください。
ポイント8:ゴミは密閉する
鼻をかんだティッシュにはウイルスが付着しています。放置しておくと家族の接触感染につながる危険性があるので、すぐにビニール袋に入れて密閉してください。その後、手洗いを行いましょう。
以上が家庭内感染を防ぐためのポイントです。これらは在宅時を想定したものですが、他にもパートナーとドライブをしているだけで感染した事例もあります。この事例は車のエアコンを効かせるために換気しなかったのが原因とみられています。いずれにしても夏休みは家族や親しい人たちと一緒に過ごす時間が増えるので、今まで以上に丁寧な対策が求められるでしょう。猛暑が続いており、マスク着用が億劫になったり、ついつい換気を怠ってしまいがちですが、上記のポイントを見直してみてください。一方で、屋外で2メートル以内に人がいないときはマスクを外す等、熱中症対策と新型コロナウイルス対策のバランスを取りながら、臨機応変に対応しましょう。
※出典:一般材大法人日本環境感染学会「新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項」
※出典:厚生労働省「新型コロナウイルスを防ぐには」
※出典:厚生労働省「感染防止対策チラシ0618」
ほんの少しの習慣が家庭内感染を防ぐ
自身や周囲の人たちを守るため、家庭内での感染症対策が重要になってきました。上で解説した通り、感染経路として夜の街を上回るケースが出てきたのです。対策としては、手指や共用部分の消毒、定期的な換気にマスク着用など基本的なものばかりです。外出時だけでなく家庭内でも用心するのはストレスに感じるかもしれませんが、慣れるしかありません。少しの習慣の変化が家庭内感染を防ぐことに繋がるので、是非実践してみてください。