新年度から導入したい。オフィス・企業のゴミ削減の方法と実施事例
2021.03.10
業界コラム
企業のあり方が根底から変わってきています。もはや利益だけの追求は前時代的とされ、現代では社会的責任(CSR)が求められるようになりました。
代表的なCSRは環境活動で、特に「ゴミ削減」に取り組む企業が多いですが、具体的な方法は分からないかもしれません。そこで本記事では環境省等の情報をもとに、オフィスを構える一般的な企業を対象として、ゴミ削減の方法を解説します。具体的な事例も紹介するので参考にしてください。
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オフィス・企業のゴミを巡る現状と課題
日本は21世紀に入ってから3Rに取り組んだこともあり、ゴミの最終処分量の大幅な削減に成功しています。3Rとはリデュース(ゴミを出さない)、リユース(ゴミにせずまた使う)、リサイクル(資源にして再利用する)のことです。基本的に循環型社会形成に向けて前進しているのは事実ですが、一方でいくつかの課題も散見されます。なお、ここで述べる課題はオフィス・企業に限った話ではありませんが、企業の社会的責任を果たすにはこれらの解決を目指すことが必要です。
日本のゴミの現状:年間で東京ドーム100杯以上のゴミを排出
2018年度に排出されたゴミの総量は約4000トンです。更にこれは一般廃棄物だけの数字なので、ここに産業廃棄物が加算されることになります。このように大量のゴミが出ることで以下のような問題が発生します。
1.埋立地が不足
2020年3月の発表では、最終処分場の残余年数が21.6年しかないとされています。つまり、残り20年ほどで埋め立てのスペースがなくなってしまうのです。
2.地球温暖化の進行
ゴミを増やせば増やすほど焼却時の二酸化炭素も大量に排出されます。地球温暖化が進行し、生態系に悪影響が及ぶことでしょう。
いずれにしても企業・オフィス、家庭の全てでゴミを減らさないことには、これらの問題は解決できません。
今後解決すべき課題:リデュースとリユースの取り組みの遅延
循環基本法ではリサイクルよりもリデュースとリユースの優先順位が高いですが、取り組みが遅れています。環境省の「日本の廃棄物処理の歴史と現状」という資料によると、遅れている2Rを促進するためには以下の取り組みが必要だと説明されています。
・2Rの促進に取り組む事業者(容器包装の削減・軽量化や長時間利用できる製品の開発等を行う事業者)が社会的に評価されるシステムを整備
・リユース品を消費者が使いやすくなるように、リユース品に性能保証がつけられるような環境作りをする
以上のように、ゴミの排出量に関して問題は山積みです。そのため今後は3Rの全てを機能させ、環境を守ることが多くの企業に求められることでしょう。ここからは既にこれらの現状、課題を解決するために活動している企業の取り組みについて、具体的に説明します。
※出典:環境省「日本の廃棄物処理の歴史と現状」
オフィス・企業のゴミを削減する方法
先ほどは国単位での課題と今後の展望を中心に紹介しました。ここからは現時点でオフィス・企業ができるゴミ削減方法について、川崎市の事例をもとに解説します。自社で導入可能な施策があればご活用ください。
オフィス内の売店やカフェでゴミが出ない仕組み
川崎市幸区の製造メーカーのオフィス(現在は他会社に物件を売却)では売店やカフェなどでゴミの発生抑制を行っていました。具体的には売店ではレジ袋を廃止し、カフェでは紙パックのゴミが減るよう、マイカップの持参を推奨しました。
■取り組みのポイント
・売店でレジ袋廃止 ※袋が必要な人がいればマイバックを貸し出し
・カフェのお持ち帰りでは、マイカップを持ってきた社員に特典を用意
これらの取り組みの結果、レジ袋の使用はなくなり、紙カップの廃棄量も大幅に少なくなりました。なお、マイカップ使用時の特典については、チラシをレジ横に設置することで社員に周知しました。
社員食堂から排出される生ごみをリサイクル
川崎市中原区に位置する大手電機メーカーの事業場では、社員食堂から排出される生ごみを堆肥化しています。この堆肥は同市内の農家で利用し、育てた野菜を再び社員食堂の献立として提供するなど、地産地消を実現した事例です。
■取り組みのポイント
・社員食堂から出た生ごみを生ごみ処理機(事業場内に設置)で堆肥化
・堆肥への異物混入を防ぐため、食器返却時の分別を徹底
実は生ごみの堆肥化は本来容易ではありません。生ごみ由来の堆肥を利用することで、「野菜作りに支障があるのではないか」という農家側の懸念があるからです。しかし、この事業場では徹底した分別で堆肥の品質を安定化させており、農家との信頼関係を築いています。そのため堆肥化した生ごみはほとんど余ることがありません。生ゴミのリサイクルに成功している好事例だと言えるでしょう。
オフィスビルから出る大量の紙類を資源化
川崎市幸区には地上24階の超高層ビルがあります。このビルはテナントのほとんどがオフィスということもあり、紙類が大量に排出される傾向があります。そのため紙類をいかに無駄なく資源化できるかが、この施設の課題でした。
■取り組みのポイント
・各テナントに分別ボックスを設置
・テナントごとに「廃棄物担当者」という分別の監視役を設置
・各テナントから出たゴミをビルの中にある集積所に集め、再び分別のチェック
・運搬業者と連携し、シュレッダー済みの紙も資源化できるルートを確立
この取り組みで特に特徴的なのは、分別の質を高めるために何段階も対策を講じていることです。仮に分別ボックスだけだと分別が不十分になる場合も考えられますが、その際は廃棄物担当者が改善指導、注意喚起を行います。さらにビル内の集積所で再度分別を終えた後に、収集運搬業者が引き取るという流れになっています。
※参考
・川崎市「優れた取組事例の紹介」
・川崎市「社員の環境配慮型ライフスタイルを推進して廃棄物減量」
・川崎市「地元農家と連携した食品リサイクル」
・川崎市「ビル全体での廃棄物減量化・資源化の取組」
オフィス・企業のゴミを削減するメリット
オフィス・企業のゴミ削減は一般的にはCSR活動に含まれます。そしてCSR活動に取り組むことで主に2つのメリットが得られます。1つ目は企業価値の向上、2つ目はモチベーションの高い社員が集まることです。
企業価値の向上
CSR活動は企業価値ないしはイメージアップに繋がります。例えば日本最大級のシェアを持つ某食品会社は、子供たちに向けた食育の取り組みを行っており、それが高い好感度に繋がっています。実際に全国の18~59歳の男女100人を対象としたアンケートでは、この活動によって「企業に対して好感を持った」という人が42%でした。
他の例としては、世界中に展開する大手コーヒーショップのゴミ削減があります。2020年までに世界で3万近い店舗でプラスチックストローを廃止にすることがニュースになりました。これは10億本のストローが削減されることを意味しています。世界に与える影響は大きいと言われており、クリーンなイメージが付与される可能性があります。
モチベーションの高い社員が集まる
東京都新宿区に位置する大手百貨店の純粋持ち株会社は、東日本大震災の被災地支援を継続して行っています。このように社会貢献度が高い活動をしている企業は、顧客からの信頼、株主・投資家からの支持、現社員のモチベーションアップ、入社希望の学生増加など、様々な面で恩恵を受けることになります。
オフィスのゴミ削減は間接的に利益を生む
世界的に環境保全の重要性が増す中、日本でも企業のゴミ削減が求められています。日本では企業の社会的責任が重要視されるようになったこともあり、ゴミの発生抑制、リサイクル等の取り組みが行われています。一見すると、企業経営には遠回りな活動に思えるかもしれませんが、企業価値が向上する等のメリットがあります。本記事でご紹介した事例を参考に、導入を検討してみてください。
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