感染性廃棄物「バイオハザードマーク」の色と種類、意味とは
2021.06.09
業界コラム
医療、介護施設などで働いている人であれば「バイオハザードマーク」を1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。バイオハザードマークは、取り扱いを注意しなければならない感染性廃棄物の種類などを示すマークです。
バイオハザードマークに従って感染性廃棄物を廃棄することで、保管、収集、処理に関わる人の感染リスクの抑止につながるので、その意味をしっかりと把握することが大切です。
今回は医療廃棄物と感染性廃棄物の意味と定義、さらにバイオハザードマークの種類と添付された廃棄物の保管ルールまで解説します。
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医療廃棄物とは
医療廃棄物とは、病院などで医療行為に用いられた注射器などの廃棄物の総称です。また、医療廃棄物は、いわゆる「俗称」であり、法律などで定められた用語ではありません。
産業廃棄物処理法では、医療廃棄物を示す用語として「感染性廃棄物」、「非感染廃棄物」に大別されています。
環境省が作成、配布している「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」から、まずはそれぞれの特徴を紹介します。
感染性廃棄物
人が感染する恐れがある病原体が付着している、もしくは付着している恐れがある廃棄物を「感染性廃棄物」といいます。
感性廃棄物を排出する施設には、以下の10施設が該当します。
■感性性廃棄物に関わる施設
・病院
・診察所
・衛生検査所
・介護老人保健施設
・介護医療院
・助産所
・動物の診療施設
・国、自治体の試験研究機関
・大学などの試験研究機関
・医学、歯学、薬学、獣医学などのその他研究所
感染性廃棄物に該当するかは、形状、排出場所、感染症の種類の3つの観点から判断することが、前述した「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」で明記されています。それぞれの具体例を以下で確認してみましょう。
■形状
・血液、血清、血漿と体液
・臓器や組織、皮膚など手術や検査で発生する病理廃棄物
・血液などが付着した鋭利なもの
・病理微生物に関わる試験や検査に用いられた道具
■排出場所
・感染症病床、手術室、緊急外来室、集中治療室、検査室などの感染症病床で使用、排出されたもの
■感染症の種類
・感染症法で定められた一類、二類、三類感染症および新型インフルエンザなどの感染症、特定感染症の治療、検査に使用されたもの
・注射器やメス、試験管などの「医療器材」。ピンセットやハサミ、リネン、手袋、カテーテルなどの「ディポーザブル製品」。ガーゼやマスクといった「衛生材料」、さらに感染症が付着している恐れのある紙おむつなどの、四類、および五類感染症の治療や検査に使用されたもの
感染性廃棄物には「感染性産業廃棄物」と「感染性一般廃棄物」の2種類があります。ただ、他の廃棄物のように分別して排出することが難しいので、感染性産業廃棄物を処理できる業者は感染性一般廃棄物もあわせて処理可能です。
非感染性廃棄物
前述した感染性廃棄物に該当しない廃棄物が「非感染性廃棄物」です。
非感染性廃棄物は医療機関などであっても、他の事業者と同様、事業で発生する産業廃棄物と一般廃棄物に区別して処分する必要があります。
※出典:環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」
※東京都環境局「感染性廃棄物を適正に処理するために」
バイオハザードマークとは
感染性廃棄物は処分する際はもちろん、感染リスクを抑えるために保管・収集から他の廃棄物と分離する必要があります。さらに廃棄物の種類や形状によって、保管や処理方法が異なるため関係者に一目で内容物が把握でき、適切で安全な処理が可能な環境を整える必要があります。
バイオハザードマークは、感染性廃棄物であることを示す全国共通の記号で、色によって内容物の大まかな種類も識別可能です。バイオハザードマークを付けることは、現時点では義務でありません。ただ、付けない場合は感染性廃棄物と文字などで明記し、その形状や取り扱い時の注意なども表示する必要があります。バイオハザードマークを表示する方がより簡単に処理できることから、添付することが推奨されているのです。
バイオハザードマークの色
バイオハザードマークは赤色、橙色、黄色で感染性廃棄物の種類を示すことが一般的です。赤色は血液などの液状、泥状の廃棄物であることを示し、保管、収集時の容器は密閉性が高く、廃液などが漏洩しないものである必要があります。橙色は血液が付着したガーゼ、紙くずなどが含まれ、丈夫なプラスチック袋を二重にして使用しなければなりません。黄色は感染性廃棄物のなかでも特に鋭利なものが該当し、注射器やメスなどを安全に収容するため、貫通耐性の高い堅牢な容器を用います。
色 | 内容物 | 内容物の例 | 保管・収集容器ほか | ||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
赤色 | 液状、泥状のもの | ・血液 ・血清 ・血漿 ・体液 ・血液製剤 ・病理廃棄物の一部 |
プラスチック容器 | ||||||||||||||||||
橙色 | 血液や汚染物が付着した固形状のもの | ・ガーゼ ・紙くず ・繊維くず ・廃プラスチック ・紙おむつ ・生理用ナプキン ・検尿用コップ |
・二重のビニール袋 | ||||||||||||||||||
黄色 | 血液や汚染物が付着した鋭利なもの | ・注射器 ・メス ・破片ガラス |
プラスチック容器 | ||||||||||||||||||
感染性廃棄物の保管
バイオハザードマークを添付した感染性廃棄物は、保管、収集する容器や分別に注意する必要がありますが、さらに保管時も守らなければならない規則があります。
まずは、周囲に囲いをして関係者以外が触れられない環境づくりをすること。さらに保管容器やビニール袋には、関係者が分かりやすい位置も取り扱い事項などを明記する必要があります。
感染性廃棄物を保管する場所は非感染性廃棄物とは別に設ける必要があり、保管はなるべく短期間にしなければなりません。長期保管しなければならないケースでは、密閉性の向上や冷蔵保存など腐敗防止に努める必要があります。
さらに保管場所には「特別管理産業廃棄物の保管場所であること」と「保管する特別管理産業廃棄物の種類」を明示する縦横60cm以上の看板を設けなければなりません。
バイオハザードマークを理解して正しく処理しよう
感染性廃棄物とバイオハザードマークについて解説しました。新型コロナウイルス感染症などの影響で、医療廃棄物の処分により一層、気を使う施設が増えているようです。管理者はもちろん、現場のスタッフもバイオハザードマークを理解して適切に感染性廃棄物を処分できる環境をつくることが大切です。
また、保管用のプラスチック容器もしっかりとした作りで、信頼性が高いものを利用することで事故やトラブルのリスク低減につながります。
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