【病院清掃】感染症を予防するための清拭消毒とは?
2021.10.13
業界コラム
新型コロナが発生して以来、国民の生活が様変わりしました。例えば、少しの外出でも手指消毒をする機会が増えたのではないでしょうか。しかし、同じ消毒でも感染予防に有効な「清拭消毒」について、詳しく理解している方はそれほど多くはないでしょう。
そこで今回は「清拭」の概念、感染予防における役割、実施のポイントを解説します。清拭に適した弊社の商品も紹介するので、清掃関連業者や購入を検討されている方はぜひご確認ください。
清拭(せいしき)とは
清拭(せいしき)とは文字通り「拭いて清潔にすること」で、大きく分けて2つの意味があります。1つは「看護・介護目的」における清拭、もう1つは「清掃目的」の清拭です。一般的には患者や高齢者の体をタオルで拭きとって清潔にする看護・介護目的を指すことが多いですが、今回解説するのは清掃目的の清拭です。
清掃目的の清拭とは、病院・施設でモノを拭いて清潔にすることです。国立研究開発法人国立国際医療研究センターも院内感染対策に必要な概念として、この用語を用いています。実際に、「NCGMにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(疑い含む)院内感染対策マニュアル」という資料では、環境や共用する物品、患者退室後の病室などで清拭することを推奨しています。
※出典:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター「NCGMにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(疑い含む)院内感染対策マニュアル V.4.2」
感染予防における清拭の役割
感染予防において清拭が果たす役割は、ウイルスの感染経路を断つことです。例えば新型コロナの感染経路として飛沫感染や接触感染が認められていますが、清拭はそれらを除去できるので接触感染のリスクを軽減につながります。
前述の国立国際医療研究センターの資料では新型コロナ対応時の基本的な対策として、院内で以下の場所を清拭することを奨めています。
■院内で清拭が必要な場所
・陽性患者の衣服を洗濯した後の、洗濯機の周囲や洗濯槽の中
・感染性廃棄物段ボールの周囲
・聴診器、血圧計、血糖測定器、スマートデバイスなどの器具 ※共用する場合
・患者の手や身体が直接触れる場所
(ナースコール、テーブル、ベッド柵、車いす、ストレッチャー、納体袋など)
・患者のいた検査室、病室
・患者搬送時に利用したエレベーターや触れたボタン
・ドアノブ、PHS、パソコンなど多くの人が触れる場所
・陽性患者の病室内に持ち込んだ未開封のアンプル、バイアル
※原則使用するものだけを持ち込み、開封したものは病室内で廃棄する。
清拭はこれらの場所で接触感染や院内クラスターが発生するリスクを抑えます。
また、接触感染の抑制は新型コロナ以外の感染症対策にも重要なので、病院清掃には欠かせない概念だと言えるでしょう。
病院・高齢者施設の清拭のポイント
前述のとおり、病院では様々な場所に病原体が存在するので日常的な清掃が重要です。また、高齢者施設に関しても抵抗力が弱い高齢者が多く生活しているので、クラスターが発生しやすい環境だと言えます。
ここでは病院・高齢者施設での感染症対策として、清拭のポイントを解説します。
ポイント1:清拭すべき場所を理解
病院・高齢者施設のいずれにおいても、重点的に清掃すべき場所、および清拭すべき場所を理解することは大切です。
まず病院では、モニターやポンプなどの医療機器表面は清拭清掃が必要です。また、患者の手指が直接触れるような場所は特にリスクが高いので、1日1回以上の清拭清掃や消毒を実施しましょう。前述の「院内で清拭が必要な場所」を参考にしてください。
次に高齢者施設について、厚生労働省が公開している「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改定版」では、以下の場所を清拭することを推奨しています。
■高齢者施設で清拭すべき場所
・嘔吐物、排泄物(汚染された部分とその周囲を次亜塩素酸ナトリウム液で清拭)
・血液などの汚染物が付着した部分(消毒薬で清拭)
・ドアノブ、便座(アルコールで清拭)
・調理器具
・カーテン(※カーテンは一般的に感染リスクが高くないが、体液が付着した場合には次亜塩素酸ナトリウムで清拭)
ポイント2:床の清拭には2種類のバケツを用意
床や壁、窓などは手指が触れる機会は多くないので、感染伝搬は稀だとされています。ただし、ホコリや水垢などの汚れは病原体のエサとなりえるので定期的に清掃しましょう。
床を清掃する際は、汚れたモップをすすぐためのバケツと洗浄剤が入った清拭用バケツの2種類を用意するのがおすすめです。これにより常に清潔なモップを使用できます。
ポイント3:清拭をスムーズに行う環境作り
病院では様々な職種のスタッフが働いているので、必ずしも清掃に対する意識統一が容易ではありません。高齢者施設も同様で、介護職員、施設長、看護師、生活相談員などが一緒に働いています。
そのため、清掃の頻度や清拭する場所、担当スタッフ、防護具や手指消毒のタイミング、使用する掃除道具などを網羅したマニュアルを用意しておくと良いでしょう。
また、なるべく床にものを置かないようにしたり、普段から整理整頓を心掛けることで清掃しやすくなります。他のアイデアとしては、清掃道具の洗濯の手間を省くために使い捨てのお掃除クロスを導入するのも効果的です。
※出典:厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改定版」
ディスポーザブルな清掃用具「制菌クロス」
先述したように、病院・施設で感染症を予防するためには「施設全体を清潔に保つこと」、「清掃に取り掛かりやすい環境」などが必要です。
そして、これらの実現に欠かせないのが適切な道具選びです。ここでは弊社で開発している商品を3つ紹介します。
FXマイクロ抗菌クロス
FXマイクロ抗菌クロスは、制菌・抗菌防臭機能に加え「抜群の汚れ除去性能」を持ったお掃除クロスです。
構造としては繊維が細いことが特徴で、髪の毛の100分の1ほどしかありません。そのため「毛細管現象」により吸水力も高いです。
※毛細管現象…液体が重力に関係なく繊維の内部を動く現象。繊維の吸水性や速乾性を左右する。
また、繊維の1本1本がシャープなエッジを持つので、かなり小さなゴミや油膜を効果的に拭き取ることが可能です。病院内で病原体が生存・増殖しやすくなる要因はホコリや水垢などの細かい汚れなので、これらを残さず拭き取るために最適な商品です。
他の特徴としては表面と裏面で作りが異なります。表面は凸凹があるので汚れ落とし用で、きめこまやかな裏面は仕上げ拭きに適しています。
※商品ページ:FXマイクロ抗菌クロス
FX制菌クロス(TioTio)
FX制菌クロス(TioTio)は制菌力と抗菌防臭に優れたお掃除クロスです。速乾性はもちろん、特殊な触媒加工を施しているので、クロス自体の雑菌汚染まで防ぎます。
その制菌力は抗菌試験においても証明されており、クロスを10回洗濯した時点でも下記の細菌を抑え込むことが分かっています。
・黄色ぶどう球菌
・肺炎桿菌
・MRSA
・モラクセラ菌
・大腸菌
・緑膿菌
2020年以降は新型コロナウイルスに注目が集まっていますが、病院環境では色々な場所に様々な病原体が存在するので、これらの増殖を全体的に防ぐことが大切です。
その点、FX制菌クロスは鏡・ガラス、テーブル、ドアノブ、スイッチ類、ステンレス、飛沫防止パネルなど、使用場所が幅広いので、院内の衛生環境改善に貢献することでしょう。
※商品ページ:FX制菌クロス(TioTio)
FXウェット除菌クロス
FXウェット除菌クロスは使い捨て(ディスポーザブル)タイプの商品なので、さらに清潔で効率的な清掃が可能です。また、使用後の洗濯が不要なので、手軽に掃除できるのがメリットです。この点、「清掃に取り掛かりやすい環境」の構築に役立ちます。
また、塩化ベンザルコニウムを0.05%以上配合しているのも特長です。塩化ベンザルコニウムは界面活性剤の一種で、NITE(製品評価技術基盤機構)の検証で新型コロナウイルスへの活性が認められています。
この結果は厚生労働省のHPでも紹介されており、ウイルスの膜を破壊することで無毒化するとされています。
※出典:厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」
※商品ページ:FXウェット除菌クロス
清拭でワンランク上の感染症対策を!
清掃領域における清拭は院内・施設での接触感染を防ぐ上で重要です。ウイルスは物質表面に数多く残存している可能性があるので、清拭で清潔な状態にしておきましょう。ただし、掃除道具によってその精度は左右されます。
商品選びに迷った際は、本記事で紹介した商品をご確認ください。抗菌・制菌・除菌に対応しており、感染症対策に大きく貢献します。適切な掃除方法と商品選びで、安全で清潔な施設環境を整備しましょう。