『分煙』が必須となった時代~喫煙スペースのことをもっと知ってみよう。
2021.10.27
業界コラム
たばこのルールが変わった『改正健康増進法』とは?――喫煙室は必須の時代に
2018年7月成立の健康増進法の一部を改正した法律が『改正健康増進法』です。
その目的は、非喫煙者がたばこの煙を吸い込む“受動喫煙”を防ぐための喫煙ルールを、法律によって定めるためです。
『改正健康増進法』のルールは、大きく分けると以下の4つになり、違反した場合は罰則が課せられます。
・屋内の原則禁煙
・喫煙室設置
・喫煙室への標識掲示義務付け
・20歳未満の喫煙エリアへの立入禁止
2019年7月から病院・学校・児童福祉施設・行政機関等といった施設で、原則的に敷地内での禁煙が施行されました。
さらに2020年4月からは、商業施設・飲食店・オフィス・工場・ホテルや旅館等といった多くの人が利用する施設でも、原則的に屋内禁煙となり、禁煙区分が厳格化されました。
喫煙するには、事業者それぞれの分類に合わせて喫煙室の設置が必要となっています。
『分煙』は吸う人と吸わない人のどちらにも必要なもの。
大きなオフィスビルや商業施設には、改正健康増進法が施行される前から設備の整った喫煙スペースが設けられていることが多くありました。
しかし、小規模な事務所や飲食店・店舗などではまだまだ取り入れてられていないのも事実です。
喫煙所を探すために時間を割いたり、本来ならば喫煙NGな場所で吸ってしまったり……“たばこが吸えない”ことから、クレームにつながったり、喫煙者と非喫煙者の溝を深めてしまう原因になってしまう場合も――。
今こそ、喫煙スペースを取り入れるタイミングかもしれないと考える事業主も少なくない状況です。
そんなとき、どうすればいいんだろうと迷うことや、より“分煙”に詳しくなれるポイントを知っておくことは大切です。
喫煙室を作りたい、でも何が必要?
喫煙スペースには、屋内設置型と屋外設置型の2タイプがあります。
屋外設置型
屋外設置は、主にパーテーションで区切るオープンタイプのものと、小屋のようなハウスタイプのものがあります。オープンタイプは解放感はありますが、周辺への理解を得られるかどうかをしっかり確認することが必要です。
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屋内設置型
すでに喫煙スペースがある場合は『改正健康増進法』の基準を満たしているかをチェックしましょう。できていない場合は、設備のリニューアルが必要です。
新たに設置する時は、共有ビル等の場合は設置の許可の有無、換気ダクトがあるかどうかの確認などを行いましょう。
換気ダクトがない場合や、予算の都合で大がかりな工事が難しい場合でも、脱煙機能付き喫煙ブースなら設置が可能な場合があります。
天井まで届くパーテーションで、事務所内のデッドスペースや会議室の一角を区切って作ることもできるので、まずは「どれくらいの人数が利用する予定か」「どれくらいの広さのスペースで作るか」「設置場所の状況(許可の有無やダクト等)・予算はどれくらいか」などをしっかりと決めて、施工業者と打ち合わせしましょう。
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しっかりチェックしておこう、受動喫煙防止対策助成金の制度
喫煙スペースを新たに設置する際に、条件を満たしている事業者主に対しては助成金制度があります。
業種や労働者数、資本金によって対象かどうかを判断し、適用された場合には喫煙室の設置などに関わる経費のうち、工費・設備費・備品費・機会装置費などの3分の2(主たる業種が飲食店以外の場合は2分の1)が助成されます。※上限100万円
助成金対象かどうかは、所轄の都道府県労働局に相談してみましょう。
また、助成金の対象だった場合は工事の着工前に「受動喫煙防止対策助成金交付申請書」の提出が必要です。
知ってみよう、喫煙室のこと――実はたくさんの空気の流れが必要です。
たばこが吸える空間が、他の場所と区切られる『喫煙専用室』『加熱式たばこ専用喫煙室』。
この2つには、換気に関する基準が定められています。
・禁煙エリア側から喫煙室へ、毎秒0.2m以上の空気の流れをつくること
・禁煙室内からたばこの煙が流出しないよう、壁・天井等によって区画されていること
・たばこの煙が屋外(外部)に排気されること
毎秒0.2m以上の空気の流れとは一体どれくらいで、どうやって計測するのか?
これは喫煙スペースの入口の大きさと、そこへ入る空気の量から計算します。
『開口部面積(㎡)×境界風速(m/s)×3,600(s/h)』という計算式から算出された数値が『排気風量(㎥/h)』と呼ばれます。
簡単にまとめると、排気風量とは、換気システムが1時間に移動させる空気の量のこと。
喫煙スペースの開口部の広さにもよりますが、例えばドアが約2平方メートル(畳1畳程度)の場合は1時間で1440立方メートル以上の排気風量が必要になります。
どうして入口の空気の流れが重要なの?
喫煙スペースの換気というと、思い浮かぶのはスペース内の換気をしっかり行うことではないでしょうか。
もちろん換気システムも重要です。
ですが、『分煙』をしっかり行うためにもっとも重要なポイントは、禁煙エリアから喫煙スペースに向かって流れる空気の流れ――喫煙所入口への風速なのです。
毎秒0.2m以上の風速が吹いている状態をイメージすると……
火のついたのたばこを入口付近に置いた場合、無風の状態だと煙は上に向かいます。
しかし毎秒0.2m以上の風速がある場合、煙はまっすぐ喫煙室へと吹きこんでいきます。
この空気の流れがないと、いくら喫煙スペース内で換気を行っても、たばこの煙は外へと流れ出ていってしまうのです。
空気の流れと煙の特徴を知ると、喫煙スペースがより有効に活かせるポイントが見えてきます。
空気の流れ、煙の動きの特徴をチェック
もしも今から「喫煙スペースを作ろう」と考えていたり、今ある喫煙スペースの分煙をより有効にしたいと思っているなら……空気の流れの特徴を知ることは大切です。
・空気の流れは狭い場所へ向かうとき、風速が速くなる
空気の流れは狭い場所へと吹き込むときにより速いスピードになります。つまり喫煙スペースの入口はできるだけコンパクトに作るほうが、より分煙しやすくなります。
のれんやビニールカーテンで仕切って入口を狭くすることでも、吹き込みが速くなる効果が出ます。
・空気の流れは壁や天井をつたって動く
空気は天井や壁にそって移動する特徴があるため、毎秒0.2m以上の風速が吹き込んでいたとしても、仕切りがない状態では漏れてしまいます。後付けの壁であっても、しっかりと天井まで区切られていることで『分煙』できます。
この特徴はドアの動きに対しても同じで、できるだけ動きの少ない引き戸タイプのほうが、より煙を逃しにくいと言えます。
・空気は温度差でも移動する
空気は温度差ができると移動してしまいます。もしも喫煙エリアと禁煙エリアで温度差があった場合、上部の空気は冷たいほうへ、下部の空気は暖かいほうへと流れます。両エリアの温度差はできるだけないようにしましょう。
たばこを吸いたいと思った気持ちを苦痛にしない――分煙マナーを守るために。
昨今、コロナ禍の感染症対策によって喫煙所の閉鎖が相次ぎ、たばこを吸いたいと思っても喫煙スペースが少なくてなかなか見つからないといったことが多く見受けられます。
首都圏では、喫煙所の閉鎖が、公園やビルの一角・路上での喫煙につながっているのではないかと言われています。
こういった状況から、大手のオフィスビルだけでなく、小規模な事務所や店舗・ビルなどにもしっかりとした喫煙スペースが設置できる“後付け”型の喫煙所が、注目されています。
たばこを吸いたいと思った気持ちを、きちんとルールやマナーを守りながら解消できることこそが、吸わない人の健康や分煙を推し進めることに繋がっていくのではないでしょうか。
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