TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

今知っておかないといけない、道路交通法の改正 ~アルコールチェックの義務化、何を準備すればいいの?
2022.08.10 業界コラム

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飲酒運転による痛ましい事故は、残念ながら毎年起こっています。
なかでも2021年6月に発生した、下校中の児童5人が飲酒運転をしていたトラックにはねられ死傷した事故は世論を動かし、道路交通法でアルコールチェックを義務化する流れになりました。

道路交通法改正は、2022年4月・10月と2段階にわけて施行されます。
安全運転管理者によるアルコールチェックが義務化され、これまでアルコールチェック対象だった「緑ナンバー」車両に加えて、「白ナンバー」の車両も対象となりました。
つまり、今までアルコールチェックは必要なかった営業所・店舗・事務所などが対象になる場合があります。

どんな場合だと対象になるのか、対象になった時は何を準備してどう対策すればいいのか?
気になるポイントをチェックしましょう。

ナンバープレートの色の違いはどういう意味?

そもそもナンバーの色の違いは、一体どういう意味か振り返ってみましょう。
今回アルコールチェックの義務化が必要になった白ナンバーと、もとからチェックが必要だった緑ナンバーで比較してみます。

「白ナンバー(白地に緑の数字)」とは

 ・個人の自家用車
 ・営業・渉外活動などに使う社用車
 ・自社製品の配送や訪問看護・医療など取引先へ移動するための車両
 ・社員、役員を送迎する公用車
など、自社の人員や物を「無償で運ぶ」ことが目的の車に付けられるナンバー。

「緑ナンバー(緑地に白の数字)」とは

 ・バス
 ・タクシー
 ・トラック
など、他社の人員(乗客)や荷物を「運賃をもらい運ぶ」ことが目的の車に付けられるナンバー。運輸省の許可基準を満たさないと発行されません。
もし緑ナンバーを付けていないのに、運賃を取り営業した場合、処罰の対象になります。

他にもこのような種類のナンバーがあります。
「黄色ナンバー(黄地に黒の数字)」――自家用車に使用される軽自動車。
「黒ナンバー(黒地に黄の数字)」――運賃をもらい貨物を運ぶ営業用の軽自動車。軽貨物運送業と呼ばれる。
「青ナンバー(青地に白の文字)」――日本に駐在する外交官が利用する車両。

あなたの事務所は対象になっている?新たにアルコールチェック義務化対象となった「白ナンバー」の条件

白ナンバーの車両のみを所有する小規模な店舗や事務所の場合、対象になるのかどうかがわからない……といったこともあるかもしれません。
アルコールチェックの義務化対象かどうかの条件を、見ていきましょう。

今回の道路交通法改正でアルコールチェック義務化になる条件は会社(営業所・事務所・店舗)ごとに
・営業車(社用車)を5台以上
・定員11名以上の車両を1台以上
の、どちらかに当てはまっている場合です。
(※大型自動二輪車・普通自動二輪車は1台につき0.5台とカウントします)

この条件にあてはまった場合は、2022年4月以降アルコールチェック義務化の対象です。

アルコールチェックの義務化で、何をしなければならないの?

「安全運転管理者」が行う義務として
現在(2022年4月以降)は
・運転を行う前後に、運転者の状態を目視で確認。酒気帯びの有無をチェックすること。
・チェックの結果を記録し、1年間保存すること。

2022年10月以降は
・運転を行う前後に、運転者の状態を目視およびアルコール検知器を使って確認。酒気帯びの有無をチェックすること。
・チェックの結果を記録し、1年間保存すること。
・正常に作動するアルコール検知器を常に保有すること。
とされています。

アルコールチェック義務化対象になった場合に必要な3ステップ

対象となった会社(営業所・事務所・店舗)は、道路交通法に沿ってアルコールチェックを必ず行わなければなりません。そのために準備しておくべきことを3ステップでまとめてみました。

①安全運転管理者(副安全運転管理者)の設置
②アルコール検知器の準備
③アルコールチェックの記録の作成方法・保管体制を整える

ステップ①――安全運転管理者を設置する

アルコールチェックの義務を果たすためには、必ず「安全運転管理者」が必要です。
安全運転管理者の設置には、条件を満たした者を選任し、管轄の警察署に届出します。
20台以上の車両を保有している場合は、副安全運転管理者も併せて選任しなければなりません。
対象となる台数の車両を保有しているのに、安全運転管理者を選任していない場合は、道路交通法違反により罰則が発生します。

《安全運転管理者になるための条件》
・20歳以上(副安全運転管理者がいる場合は30歳以上)
・運転管理に関する実務経験が2年以上(公安委員会が行う教習を修了している場合は1年)
・過去2年以内に公安委員会から解任命令を受けていない者
・過去2年以内に酒気帯び運転・ひき逃げ・無免許運転・あおり運転などの違反行為をしていない者

届出に必要な書類や詳しい条件内容などは、各管轄の警察署のホームページ等に提示されています。

ステップ②――アルコール検知器の準備

2022年10月以降、アルコール検知器でのチェック・常時保有が義務付けられています。
改正のタイミング前は検知器の需要が高まり、すぐに入手することが難しくなる場合もあります。なるべく早めに準備しておくことをおすすめします。

アルコール検知器は主に「据え置き型」と「携帯型」の2種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので簡単にまとめてみました。

【据え置き型】
運転者が多い事業所(運送業・バス・タクシー等)に使われていることが多い。
<メリット>
 ・誤検知が少ない
 ・耐久力が高く、メンテナンスのみで長期使用できる
 ・機種によっては結果を自動記録してくれる
<デメリット>
 ・価格、ランニングコストが高い
 ・複数人で使用するため感染症対策が必要
 ・測定時間がやや長い

【携帯型】
導入がしやすく、少人数の事業所で使われることが多い。
<メリット>
 ・価格が安い
 ・測定時間が短い
 ・各個人で所有できるので、感染症対策やリモートワークにも対応できる
<デメリット>
 ・アルコール以外のガスに反応する場合がある
 ・使用回数・期間の制限があるので買い替えが必要
 ・自動記録ができないので、チェックごとに手動で記録が必要

ステップ③――アルコールチェックの記録の作成方法・保管体制を整える

アルコールチェックの記録方法にも、必要な項目が定められています。

①確認者名
②運転者
③運転の業務に係る自動車の自動車登録番号、又は識別できる記号・番号等
④確認の日時
⑤確認の方法
 ・アルコール検知器の使用の有無 (2022年10月以降)
 ・対面での確認でない場合は、具体的な方法
⑥酒気帯びの有無
⑦指示事項
⑧その他必要な事項

チェックした記録の保存方法についての規定はありませんが、公的機関のホームページ等に記載事項を満たしたフォーマットが公開されています。
また、確認事項がすでに印刷済のノートタイプの記録簿も市販されています。
紙以外にもアプリやクラウドで共有・保存することも可能です。
フォーマット参考:関東運輸局

アルコールチェックの義務化は、悲痛な事故を一件でもなくすためにすすめられた改正によって定められました。歩行者、運転者のどちらも守るために必要な義務です。
今までになかったチェック・記録が始まったときに「ここはどうすればいい?」「こういった場合の対応は?」と慌てないために、今からしっかりと準備・対策を始めましょう!

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