サニタリーボックスのこと、知ってみませんか ~すべての人の「言いにくかった」をなくすために~
2022.09.07
商品の選び方
商品紹介コラム
「サニタリーボックス」というモノの名前。
一体どういうものなのか、どこに置かれていて、何のためにあるのか。実は「知らない」という人も多いと思います。
トイレの中に置かれる、この小さなゴミ箱のこと――ほとんどの女性にとっては身近で“あたりまえ”に存在するものです。
ですが、今「サニタリーボックス」が性別に関係なく誰にとっても必要なモノだという声があがっています。
サニタリーボックスとは?
サニタリーボックスは、英語ではSanitary Box。Sanitaryは「衛生の、衛生的な、清潔な」といった意味を指しています。
主に女性用トイレの個室内にあり、使用済みの生理用品や尿漏れパッドなど“トイレに流せない”ゴミを捨てるために置かれています。
女性にとっては家庭や学校、商業・公共施設など、ほとんどのトイレで見かけるモノでもあり、生活をするうえで必要不可欠です。
男性用トイレにも置いてほしい、という声
女性にとってはあたりまえのものが、男性にとっては“欲しいけれど言いにくい”もの――
男性用トイレの個室内にサニタリーボックスを設置してほしい。
実は男性にとってサニタリーボックスが必要だという声は、少しずつ世間にあがってきています。
実際に、埼玉県では市議会で設置を求める意見が出たことをきっかけに、区役所やスポーツ施設、公共施設、公園、小中学校の教職員トイレ等の男性用トイレへサニタリーボックスが導入され始めています。
埼玉県のこの動きはニュースとして話題にあがりました。
このニュ―スによって、男性からは「必要だと思っていても言い出しにくかった」
女性からは「男性用トイレにサニタリーボックスがないことを初めて知った、必要とされていることを知った」
と、今まで話題にあげられにくかったサニタリーボックスについて、男女ともに意見を交わせるきっかけになりました。
男性からもサニタリーボックスを求められるようになった背景
女性にとっても、生理用品や尿漏れを防ぐ吸水シート・パッドの話題はデリケートなもの。
しかし求められる場面が多いため、商品開発やケアの方法も共有されてきました。
一方で、男性にとって尿漏れ等をケアすることは、“誰にでも起こる”ものではありませんでした。
ところが、近年「前立腺がん」が増加傾向にあります。男性のみがかかるがんの一種で、食事習慣の欧米化や高齢化が原因と考えられています。
ほかにも「膀胱がん」「膀胱炎」「尿道結石」など、尿漏れの原因となる病気はたくさんあります。また男女を問わず、加齢による筋力の衰えなども大きな原因のひとつです。
尿漏れ等をケアする代表的なものは、吸水シートやパッドを下着に付けておくこと。
しかし数時間に一度は取り替えなければなりません。
今まで尿漏れケアのためにシートやパッドを使用していた男性の多くが、やむなく使用済みのものを持ち帰っていました。
個室内にサニタリーボックスがあったなら、トイレットペーパーにくるみその場で捨てることが可能です。
サニタリーボックスに求められる機能って?
サニタリーボックスは、もともと女性用トイレでは必要不可欠なため様々な機能が進化しています。
家庭用・施設用、容量、機能、素材などいろいろな種類があります。
ここでは公共施設など、多くの人が利用することを前提として、サニタリーボックスに求められる機能をピックアップしてみました。
・密封性
生理用品や吸水シート・パッドなどを捨てる時に気になるのは、やっぱりニオイです。
ニオイもれを防ぐために、フタつきで密閉性の高いものが好まれます。
・清潔さ
抗菌素材や、掃除がしやすい形状のものがおすすめです。
・捨てる時の便利さ
不特定多数の人が利用するため、捨てるときにフタに触れなくてもいいものが好まれます。
足で踏んでフタを開けるペダル式のものや、フタが自動開閉してボックス内のゴミが見えないものなどがあります。
・個室内で利用するためにちょうどいいサイズや機能
サニタリーボックスにゴミを捨てる時は、だいたい便座に腰かけている状態。
その姿勢で、前かがみになりすぎず、立ち上がらなくてもゴミを捨てられるベストな高さのところに開口部があるものがおすすめです。
また、狭い個室内に置いても圧迫感がないような薄い形状のもの、天板部分にポーチなどが置けるものも好まれています。
・容量
男性用トイレに設置する場合、大き目のパッドを捨てることが多いです。
女性用トイレの個室に設置するサニタリーボックスよりも大きめのもの(約7ℓ~10ℓ以上)をおすすめします。
これから設置するなら、どんなサニタリーボックスを選ぶべき?
例えばオフィスなどで、今から男性用トイレにもサニタリーボックスを設置しようという場合、どんなものを選べばいいかをピックアップしてみました。
・円筒状のペダル開閉式サニタリーボックス
ステンレス素材で掃除がしやすく、フタに重みがあり、密閉性が高い。
容量も小さいものから大きいものまで種類が豊富。ペダル開閉式なので衛生的。
コンパクトで比較的安価な製品が多いので、導入しやすい。
※関連商品:蓋つまみ付ペダルボックス
・スリムタイプ(長方形)のペダル開閉式サニタリーボックス
ステンレス素材で掃除がしやすい。壁に沿って置けるので、狭い個室でも設置しやすい。
ペダル開閉式なので衛生的。本体にやや高さがあるので、屈まずに捨てられます。
※関連商品:サニタリーコーナー
・機能的デザインタイプのサニタリーボックス
本体カラーに種類があり、デザイン的なトイレでもなじみやすい。
容量が大きくてもスリムな形状なので個室内に置きやすい。
本体に高さがあるので、座った状態でも捨てやすい。投入口が中身の見えにくい構造になっている。
※関連商品:サニタリースリムボックス
男性用トイレにもサニタリーボックスを――「言いにくい」ことを「あたりまえに」へ
サニタリーボックスはさまざまな機能や形のものが開発・製品化されており、コスト的にも導入がしやすい状況です。
それでもなかなか導入がすすまない理由は、
・男性用トイレのサニタリーボックスの必要性がまだ広く理解されていない。
・掃除時の手間が増えてしまう
の2点ではないでしょうか。
「恥ずかしい」「言いにくい」という気持ちがあって声にあがりにくい話題ですが、少しずつ世間にも理解が広がってきている今だからこそ、様々な企業や商業施設での取り入れをすすめていきたいものです。
そして、今までにないモノを置くとことは、掃除のコストが増えるということ。
清掃業者との連携や、詳しいニーズや利用状況を把握することも大事です。
また、個室ひとつひとつに置くのではなく、トイレ内に大き目のサニタリーボックスを設置し、通常のゴミ箱と区別するよう注意書きをしている施設などもあります。
病気等の影響や、加齢のために起こる生理的な現象は、男性にも女性にも起こるもの。
これから高齢化がすすむ社会のなかで、誰もがどこでも安心して過ごすために、男性用トイレのサニタリーボックスも必要不可欠なものになっていくと思われます。