DX(デジタルトランスフォーメーション)に必要な、3つのステップの意味とは? ――身近な変化から繋がっていく、新しいビジネスモデルの誕生
2023.10.25
業界コラム
コロナ禍が始まった2020年――感染症対策で、働き方や生活様式が一変しました。
少しずつ社会生活も活気を取り戻し、新たな“暮らし”と“働き方”が定着しつつあります。
今までの生活と変わってしまった、さまざまな不便なことと隣り合わせだったこの数年――しかし予想外のスピードで社会に広がっていったものがあります。
そのひとつが、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。
まだまだ聞きなれないこの言葉は、これからの社会を知るうえで重要なキーワードです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、直訳すると「デジタル変革」。
2004年、スウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマンが論文のなかで提唱しました。
その考え方は、『デジタル技術が社会に広く浸透することで、人々の生活をあらゆる面で良いものへと変化させる』というものです。
この考え方は、社会全体に向けたものです。
では、ビジネス業界にポイントを絞った場合のDX化とは、どういったものでしょうか?
ビジネス業界に求められるDX化
- デジタル技術を用いて、顧客や社会のニーズに合わせた製品・サービス・ビジネスモデルを作る
- 一部の業務だけでなく、企業の業務プロセス・組織・企業文化まで変えていく
- DX化で起こった変革によって、各企業が競争力を高め向上する
日本でも2018年から、経済産業省による産業界へのデジタルトランスフォーメーション推進が始まりました。
世界的にデジタルトランスフォーメーションはあらゆる業界で取り入れられるなか、日本でも業務の効率化・製品の品質向上を推し進めるにDX化は避けられない課題です。
しかし日本企業のなかでDX化はなかなか広く浸透していかなかったのです。
DX化を知るための3つのステップ
DX化のために必要な“デジタル”。
そのなかには、IoT(モノとインターネット)と呼ばれるインターネットの普及・高速化、膨大な情報の収集、AIによる情報分析など、多岐にわたる技術が含まれています。
そしてDX化には、3つのステップがあります。
デジタルトランスフォーメーションを知るために、3つのステップとはどんなものなのかチェックしてみましょう。
デジタイゼーション
デジタイゼーション(Digitization)とは、直訳すると「デジタル変換」という意味です。
DX化のステップとしては、「アナログ」から「デジタル」への変換を行うこと。
アナログで行っていた作業の一部を、デジタルに置き換えることを意味します。
実は「デジタイゼーション」は最も身近で、多くの業界ですでに取り入れられています。
その具体例の一部をピックアップしてみました。
- FAXで行っていた受発注を、オンラインシステムにする
- 経理業務や書類作成などを、パソコンソフトを使って効率的に行う
- 紙で管理していた資料や写真・情報・リストを、デジタルツールで管理する
- 訪問や対面で行っていた営業・商談・会議等を、オンライン上で行う
- チラシや雑誌等の紙面広告を、オンライン広告にする
「デジタイゼーション」は、作業をアナログからデジタルへ変換して、業務の効率化とコスト削減を目的としています。
デジタライゼーション
デジタライゼーション(Digitalization)とは、デジタル技術を活用して、すでにあるビジネスモデルを変革することです。
業務の一部分を効率化するだけではなく、業務全体をデジタル化することで新たなビジネスモデルやサービスを生み出します。
「デジタライゼーション」によって変革したビジネスモデルの一部を、ピックアップしてみました。
- サブスクリプション・コンテンツの浸透
- マッチングで配達を行うデリバリーサービス
- カーシェアリング
音楽・映画・電子書籍など、一定の料金を支払うことで好みの作品を選び楽しむことができる。
レンタルショップへ足を運んだり手続きを行う手間が省け、膨大なコンテンツに触れられる。
マッチングシステムを使った、新たなデリバリーサービス。
顧客から注文が入ると、マッチングシステムで配達員が決まり、店で料理などを受け取り顧客のもとへ届ける。
配達員を用意できない店舗でもデリバリーが行え、配達パートナーという新たな働き方を作り出した。
会員登録をすることで、使いたいときに車をレンタルできるサービス。
店舗型レンタカーサービスとは違い、オンラインで登録や受付がいつでもでき、車が置かれているシェアリングステーションからすぐに借りることができる。
対人での対応がないため顧客は従来のレンタカーよりも気軽に利用でき、企業側はコスト削減と機会損失の回避ができる。
「デジタライゼーション」は一企業が変化するだけでなく、新しいサービスや働き方を作ることで、業界全体や社会生活へ大きく影響を与えています。
2つの変革をふまえて、DX化へ
アナログで行っていた業務を、デジタルへ変換して効率化をはかる「デジタイゼーション」。
デジタル技術を活かして、新しいビジネスモデルを生み出す「デジタライゼーション」。
この2つのステップから、DX化(デジタルトランスフォーメーション)が始まります。
今まで、業務の効率化・コスト削減や、製品やサービスの品質によって得られる満足度が“価値”とされていました。
DX化 では、デジタル技術がもたらす情報が大きな“価値”となり、新たな働き方・ニーズによって、企業組織や産業構造に変革を与えます。
コロナ禍のなかで求められたものが、DX化を進める
インターネットの普及・デジタル技術の発展によって、土壌はできあがりつつあったものの、DX化は浸透していませんでした。
しかし、コロナ禍で社会に求められたものが、DX化の普及を推し進めました。
それは、感染症対策のために始まった「人と人との接触を減らす」ということ。
オンライン授業、リモートワーク、ネットスーパー等の普及、非接触型のレジなど、今までにはない社会生活が必要とされました。
そんなニーズに応えるために企業はDX化を進め、ここ数年で新たなビジネスモデルを確立しています。
テラモトでは、ゴミ箱の収集などをより効率的し環境美化にもつながる「TERAS BOX」、トイレ管理の効率化と環境改善のための「TERAS PLACE」のサービスを提供しています。
TERAS BOX
施設内のさまざまな場所に置かれているゴミ箱の、蓄積量を計測するシステムです。
多くの施設では、ゴミの回収は時間ごとで定期的に各所を回る方法をとっていますが
TERAS BOXを使うと、ゴミ箱にたまっているゴミの量をリアルタイムで計測し、一定量を上回った際に回収を行えます。
また「どの場所のゴミ箱が」「どの時間帯に多く使われているか」といったデータ分析も行い、効率的な回収業務の予定をたてることができます。
※関連商品:TERAS BOX―テラスボックス―
TERAS PLACE
センサーによって個室トイレの利用状況を計測してくれます。
トイレの利用者が多いフロアや時間帯などをデータ化・分析し、効率よく清掃業務の予定をたてることができます。
※関連商品:TERAS PLACE―テラスプレイス―
日本が抱える課題を解決するために
日本にとって、今後避けられない大きな課題のひとつが、少子高齢化です。
少子高齢化が現状のペースのまま進んでいくと、40年後には労働人口(15歳から65歳までの男女)が約4割減少すると言われています。
すでに医療や福祉・物流・清掃などの公共サービスといった、社会的インフラの維持に必要な職種では人手不足が深刻な問題です。
また、インバウンド需要が再び高まるなか、宿泊・観光業や飲食店でも人員が足りず、十分なサービスが提供できないという声もあがっています。
DX化によって、人手が少ない状態でも十分な業務が行えるビジネスモデルは、あらゆる分野で必要とされています。