2025年問題が原因でホテル・宿泊業界の人手不足が深刻化?求められる対策のカギは「客室清掃」
2023.11.22
ホテル全コラム
ホテル経営・マネジメント
少子高齢化に伴い、労働人口の減少が問題視されている昨今、各業界・企業では人手不足が懸念されています。
人手不足は2025年ごろより深刻化してくると言われており、これは「2025年問題」として注目を集めています。
そして、ホテル・宿泊業界においても、この2025年問題の影響を受けると予想され、既に人手不足に悩んでいる企業はより深刻化する恐れがあります。
ここでは2025年問題の概要やホテル・宿泊業界が抱える課題、課題への対応策などを紹介していきます。
2025年問題とは
普段からニュースをチェックしていなければ「2025年問題」という言葉をはじめて聞いた人もいるでしょう。
たとえ言葉自体を知っていたとしても、ホテル・宿泊業界との関係については分からないかもしれません。
まずは、2025年問題の概要と、ホテル・宿泊業界との関係を見ていきましょう。
2025年問題の概要
2025年問題とは少子高齢化がより深刻となり、それによる様々な問題が同時に発生することを指しています。
具体的には2025年ごろには人口の多い団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、国民の4人に1人が75歳以上の高齢者となってしまうのです。
これに伴い、医療や介護といった社会保障費の増大、現役世代への負担増加、空き家の増加、労働力不足などの問題が発生します。
2025年問題とホテル・宿泊業界
ホテル・宿泊業界における2025年問題の影響として「人手不足」が挙げられます。
ある調査によると、2025年には日本全国で約580万人の労働力が不足するとも言われています。
こうした人手不足は、ホテル・宿泊業界でも悪影響を与えるでしょう。
ホテル・宿泊業界は今後、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和されることによって徐々に需要が回復すると言われています。
これに伴い、外国人旅行者が日本に入国しやすくなるため、インバウンドが増加し、宿泊施設の需要も高まっていきます。
また、テレワークやワーケーションの普及によって、ホテル・宿泊施設は「仕事をする場所」としての需要も増加していくと指摘されてます。
このように、将来的にはホテル・宿泊業界の需要が増えていく傾向にあるにもかかわらず、2025年問題によって人手不足が加速すると、こうした需要に対応しきれない恐れがあるのです。
ホテル・宿泊業界の人手不足(人材不足)の現状と原因
2025年問題による労働力不足は、ホテル・宿泊業界に大きな影響があり、決して無視はできません。
一方で、ホテル・宿泊業界では現時点でも、人手不足に悩まされています。
ここでは改めて、ホテル・宿泊業界が現状抱える課題について振り返ってみましょう。
※出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」
※出典:国土交通省観光庁「観光を取り巻く現状及び課題等について」
ホテル・宿泊業界の課題
ホテル・宿泊業界が抱える課題として「業界全体の人手不足」が挙げられます。
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」によると、ホテル・宿泊関連の企業のうち、約8割の企業が正社員の人手不足を感じています。
全体では約5割の企業が正社員不足を感じている事と比較すると、ホテル・宿泊業界の人手不足はかなりの高水準であると分かります。
非正社員に関しても、約5割のホテル・宿泊関連企業が人手不足を感じていると回答しています。
また、国土交通省観光庁が公表している「観光を取り巻く現状及び課題等について」によると、ホテル・宿泊業分野における有効求人倍率は合計約6倍となっており、全職業合計の1.38倍と比べてかなり高い倍率となっています。
さらに、ホテル・宿泊業界全体の離職率は約2.4倍(宿泊業:30人以上)であり、全産業平均(全産業:30人以上)の約1.8倍を上回っています。
ホテル・宿泊業界と人手不足(人材不足)
このように、ホテル・宿泊業界では以前より慢性的な人手不足が生じています。
これは新型コロナウイルス流行による外国人労働者の出戻りや、サービス業特有の単純作業に従事したくない労働者が増えていることが原因として考えられています。
さらに、ホテル・宿泊業界ではオンライン予約やSNSの活用、インターネット関連への対応が遅れていると言われています。
本来解決策である業務効率化の施策があまり効果を発揮していないことも、業界全体の人手不足に影響しているでしょう。
他にもホテル・宿泊業界の根本的な課題として収益性の低さが挙げられます。
ホテルや宿泊施設を運営していくうえで必要な土地代や、設備投資に伴う経費が大きいためです。
これにより、単純作業に従事する従業員には高い給与を払いたくないという経営者側の意向が強くなり、従業員の賃上げも難しくなります。
結果として、低い給与による求人募集となり、離職率の増加、応募人数の減少など、さらなる悪循環が発生していると言えるでしょう。
ホテル清掃・客室清掃の効率化の3つのポイント
2025年問題による労働人口の減少やホテル・宿泊業界全体の慢性的な人手不足に対応するためには、業務効率化が欠かせません。
外国人人材や女性、高齢者などの人材確保が難しい場合は、まず現状の労働力で最大限の業務効率化を目指してみましょう。
ホテル・宿泊業界の人手不足と客室清掃
ホテル・宿泊施設では、宿泊客の受付やビュッフェ・レストランで提供する食事の提供、ホテル・客室清掃などが主な業務として挙げられます。
ここでは、改善すべき業務として「ホテル・客室清掃」に着目していきます。
ホテル清掃・客室清掃は宿泊客や外部の業者などが関係せず、ホテル・宿泊施設側の工夫だけで業務効率化を目指せるためです。
また、業務効率化を実現すれば客室稼働率向上も目指せるため、収益性向上にも役立ちます。
ホテル・客室清掃の効率化のポイント1:清掃用具・備品の見直し
ホテル・客施設制動の効率化を実現するためには、まず清掃用具や備品を見直してみましょう。
たしかに、清掃用具は壊れていなければ使い続けることができるため、交換の必要性を感じないかもしれません。
しかし、使い古された清掃用具・備品では、満足に汚れを除去するのが難しく、ホテル・客室清掃の効率を悪化させます。
そのため、まだ使い続けられるような状態だったとしても、業務効率化のために清掃用具・備品は買い替えるようにしましょう。
また予算に余裕がある場合には、実際に導入する商品にもこだわりましょう。
性能の高いパソコンならば処理能力が上昇するのと同じように、細部に工夫が施された清掃用具・備品は清掃業務を効率化させます。
もちろん品質の良さは価格にも影響してくるため導入の際には注意しなければいけません。
効率的に清掃したい箇所が明確になっているのであれば、品質の高い清掃用具・備品の導入を検討してみましょう。
また、客室清掃を素早く実施するには運搬作業にも目を向ける必要があるでしょう。
テラモトでは作業現場のニーズに合わせたワゴンを販売しております。
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ホテル・客室清掃の効率化のポイント2:マニュアルや清掃体制の整備
ホテル・客室清掃では、ゴミの回収やベッドメイキング、水回りの清掃、各種アメニティが不足していないかの確認など、行うべき業務やチェックすべき項目が多岐にわたります。
もちろん、昔からホテル・客室清掃に対応している従業員ならば手際よく実施できるかもしれません。
しかし、実際にホテルや宿泊施設に従事しているのは、そうしたベテラン従業員ばかりではないでしょう。
対応すべき業務を明確にし、順番を設け、チェックすべき場所も明示したマニュアルを作成することで、全ての従業員が効率的にホテル・客室清掃を実施できるようになります。
とはいえ、効率的に清掃ができるマニュアルが作成されたとしても、それを実現するための体制が整っていなければ意味がありません。
清掃の際には必要最低限の従業員を配置する、清掃に必要な備品は常に補充しておくといった、清掃体制を整えておくことも重要です。
ホテル・客室清掃の効率化のポイント3:IT・ロボットの導入による省力化
もし、業務効率化に割ける費用に余裕があるのであれば、ホテル・客室清掃用にIT・ロボットを導入してみることも検討してみましょう。
清掃関連の道具や備品というと、モップや雑巾、掃除機といったアナログな物を想像するかもしれません。
もちろん、そうした備品も清掃業務の際に活躍しますが、近年は清掃業務用のITやロボットも普及しつつあるのです。
テラモトでは、独自のセンサーをゴミ箱に搭載し、ゴミの状況をアプリ内から確認できるる「TERAS BOX」のサービスを提供しています。
これにより、全てのゴミ箱をチェックしに行かなくとも、既定の時間にアプリからゴミを回収すべきか確認するだけで良くなるのです。
「どの場所のゴミ箱が」「どの時間帯に多く使われているか」といったデータ分析も行い、効率的な回収業務の予定をたてることができます。
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こうした製品を導入すれば、それだけでホテル・客室清掃を効率化させるだけでなく、清掃に必要な従業員数を抑え、人件費削減も実現できるかもしれません。
ホテル・客室清掃を効率化して、2025年問題・人手不足に対応しよう
日本では急速に少子高齢化が進んでいます。
2025年には団塊世代が後期高齢者となり、現役世代のさらなる負担増加が懸念されています。
こうした2025年問題は、日本全国で労働力不足を引き起こすとも言われており、ホテル・宿泊業界でも人手不足が生じるでしょう。
これらの問題に対応するためにも、ホテル・宿泊業界では業務効率化を図っていくことが重要です。
特にホテル・客室清掃は改善すべき項目が多いため、効率化に取り組んでいない事業者の方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。