TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

〝いつも〟の街で〝もしも〟に備える――喫煙スペースが『防災』のために役立つ場所へ
2024.06.12 業界コラム

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記憶に新しい令和6年の能登半島地震、広範囲に甚大な被害をもたらした東日本大震災――。
日本は世界的に見ても、大地震といわれるマグニチュード7以上の地震が多い国です。
いまや、日本のどの地域に住んでいても安心とはいえません。
また地震以外にも、近年の環境変化の影響で豪雨等による水害や土砂災害が各地で発生しています。
いつ起こるかわからない災害に備えることは、社会や家庭、個人にとって欠かせないものになりました。

〝もしも〟の瞬間が、外出先だったら

2011年(平成23年)に発生した東日本大震災では、津波や原発事故といった大きな被害とともに、「帰宅難民」という状況が注目されました。
帰宅難民は、帰宅困難者とも呼ばれ、会社・学校・ショッピングなど外出先で災害にあい、帰宅ができなくなってしまう状況です。
とくに都市部は、公共交通機関がストップすることで帰宅難民になってしまう可能性が高い場所です。
近年、地震だけでなく、台風や集中豪雨の被害などにより交通機関がストップする場合も多くなってきました。

東日本大震災の際、首都圏では約515万人の帰宅困難者になったと言われています。
安全確保のためにビルや店舗から外へと出された人々が駅や道路に溢れる状態は、救助活動の妨げや群衆雪崩などの二次被害へ繋がるおそれがあります。
政府や自治体では、そういった状況を避けるため、安全な場所で一時待機する方針をすすめています。

知っておきたい「避難場所」と「避難所」の違い

避難場所と避難所――
ほんの1字の違いですが、実はその役割には大きな違いがあります。
実は多くの人が知らないふたつの場所の違いとは、何でしょうか。

【避難場所】
火災、地震、洪水などさまざまな非常事態が起こったときに、安全を確保するためにまず〝待つ〟ための場所です。
公園や校庭などオープンスペースが利用されることが多く、屋外での待機を想定しています。
数時間程度の滞在が主で、状況が落ち着いたら自宅や避難所などに移動します。

【避難所】
火災や事故、天災による被害で、自宅に住み続けることができない場合に、避難して生活する場所です。
学校や公民館などが利用されることが多く、数日から数か月に渡って一時的に共同生活を送ります。
このため、避難所は屋内となります。
寝泊まりのための設備・トイレなどの衛生面の管理から、避難所は都道府県から指定が必要です。

新たな備え――〝一時避難場所〟の重要性とは?

一時避難場所は「いっときひなんばしょ」と読み、一時集合場所と呼ばれることもあります。

  • 公園・緑地・学校などの広場
  • 一定以上の広さのある道路
  • 高架道路の避難スペース、津波タワーといった高所

などが、一時避難場所として使われる主な場所です。
大雨などの場合を除き、原則的には屋外が指定されています。

街中で求められる、一時避難場所の役割

首都圏や都市部では、災害などで公共交通機関がストップしたときに混乱を避けるため、街中の『避難場所』の需要が高まっています。
とくにオフィス街や、大学・各種学校が集まる場所で、通勤・通学時に帰宅困難な状況になった場合には多くの人が街中に溢れてしまいます。
このような状況で二次災害を防ぐためには、無理に帰宅せずに安全な場所で待機すること。
交通機関の復旧が行われても、一斉に帰宅することを避けるのが望ましいとされています。

  • 照明などの一定の明るさを維持できる
  • マートフォン等の充電が確保できる
  • 一時滞在施設の場所や、交通機関の現状などの情報を得られる

〝場所〟の活用だけでなく、家族など安否確認の方法を普段から決めておくなどの備えも重要です。

「喫煙スペース」が〝防災〟に備える場所へ

街中にある喫煙スペースなどに防災機能をプラスするといった新しい考え――それが「防災喫煙所」です。
一時避難場所のような広さはありませんが、喫煙所という場所の特徴を活かして防災に役立つことを目的にしています。

そんな防災喫煙所は、「いつも」と「もしも」の2つの面で備える場所になっています。

「いつも」立ち寄る場所で、情報を得る

災害へ備えるために必要なのは、モノだけではありません。
もしもの時に、家族や大切な人とどうやって連絡を取り合う方法があるか?
自宅以外の場所から、帰れない・帰らないといった状況で、どのような行動をすべきか?
災害時に自分自身や周りの人が怪我をしたり、困っている場合に必要なことは?
こういった、防災への知識や情報を普段から意識することも、とても大切です。

喫煙スペースは

  • 駅前やオフィス街・繁華街など、人が集まりやすい場所にある
  • 喫煙スぺ―ス自体が、喫煙者・非喫煙者ともに目にとまりやすい
  • 「ここにある」と意識して来る人が多い
  • 煙を外へ漏らさないために設置されているパーテーションが、掲示板の役割になる
  • 喫煙中など、普段の生活のなかで一定の時間をスペース内で過ごす

と、普段の情報発信に役立つ条件がそろっています。

普段よく目にしている場所で、多くの人に防災知識を届ける。
防災に役立つ情報を、見やすく・わかりやすく発信する。
「いつも」の場所でできる、災害への大切な備えのひとつです。

「もしも」の時に、頼れる場所になる

防災知識を発信することで〝備える〟防災喫煙所は、災害時には頼れる場所になることを目指しています。
とくに一時避難場所のように利用する場合、多くの人は「今」の情報を知りたくなります。
また、日没に近い時間や夜間などに災害が発生した場合、明るさはなにより安心感を与えてくれます。

防災喫煙所は、もしもの時に役立つ3つの防災機能を備えています。

【充電ステーション】
スマートフォン等を充電できる非常用バッテリーや、ソーラーパネルを備えた充電機能を設置。
非常時に情報を得るために、充電をサポートします。
また、デジタルサイネージを設置している場合は、リアルタイムの情報発信に役立ちます。

【屋外LED照明】
喫煙スペースにソーラーパネルを設置し、普段から照明用の電源を確保。
災害時に停電が発生していても、スペース内外を照らします。
また、デジタルサイネージを備えている場合は、テレビ中継などのリアルタイムな情報発信を行います。

【備蓄用品の確保】
喫煙スペースを囲んでいるパーテーション内外を工夫し、非常時に役立つ備蓄用品を設置します。
エマージェンシーブランケット、救出・救護用品といった、帰宅困難時に必要とされやすいものを置いています。

さまざまな場所へ広がりつつある、防災喫煙所

防災喫煙所は、2022年9月1日(防災の日)から、東京都・大阪府・宮城県・福島県に設置されました。
2024年3月の時点で、全国で14か所。
そして防災喫煙所は、街中のオープンスペースだけではありません。

  • 大阪の中心地梅田エリアにある阪急グランドビル、阪急三番街北館
  • 福島県にあるイオンモールいわき小名浜
  • 宮城県にある野球場、楽天モバイルパーク宮城

このような、複合ビルや商業・スポーツ施設などさまざまな場所に設置されています。

喫煙スペースは、『分煙化』が推進されているなか数を減らしている場所です。
しかし「いつも」人が集まりやすい場所だからこそ、できることがある。
そんな観点から、「もしも」の時に役立つ知識を発信する防災喫煙所が誕生しました。
いつやってくるかわからない災害へ備えるために、全国に広がっていってほしい動きです。

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