TERAMOTO くらしとterakoyaコラム

二酸化炭素中毒を防ぐために│CO2濃度の基準値と対策を徹底解説
2024.09.02 業界コラム

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自宅や会社、病院や公共施設など、我々が屋内で快適な日常生活を送るためにはCO2(二酸化炭素)が欠かせません。
なぜなら、CO2には我々の体の中にある細胞に酸素を届ける役割があるからです。
一方で、生活空間におけるCO2濃度が高くなると二酸化炭素中毒のリスクが生じ、生活や仕事のパフォーマンスが落ちるだけでなく、最悪の場合は死に至ることも。
本記事では、CO2の基準濃度とリスクについて詳しく解説します。
CO2濃度の適切な管理方法や対策についても解説しますので、快適な居住空間や生産性の高いオフィス環境を実現したい方は、本記事を参考に環境改善を図ってみてください。

CO2(二酸化炭素)の基準濃度とは


高濃度のCO2は人体に有害なため、厚生労働省による建築物環境衛生管理基準にて基準濃度が設定されています。
屋内におけるCO2の基準濃度は1,000ppm(0.1%)以下で、CO2が1,000ppmを上回ると人体に悪影響を及ぼす可能性が高くなるため、環境改善が必要です。
ちなみに「ppm」は「parts per million」の略で、訳すと「100万分の1」という意味です。これは空気中に含まれるCO2の割合を示すもので、グラムやメートルなどのように単位を表すものではありません。

二酸化炭素中毒について


CO2による健康被害として挙げられるのが、二酸化炭素中毒です。
何ppmで二酸化炭素中毒に陥るかは個人差がありますが、一般的に100,000(10%)ppmで意識喪失や呼吸困難、200,000ppm(20%)で中枢麻痺や死亡する確率が高くなるといわれています。
通常の大気中におけるCO2濃度は360ppm程度といわれており、安全基準の基準濃度として設定されている1,000ppmでも、人によっては不快感を覚えることも。
3,000ppm程度で大半の人の心身に異常が起こり、脈拍異常や眠気、集中力の低下といった症状が表れるリスクがあります。
4,000~6,000ppm程度になると頭痛やめまい、吐き気、倦怠感を覚えやすくなり、中には過呼吸に陥るケースもあるでしょう。
このように、職場における高濃度のCO2は、社員やスタッフのパフォーマンスを著しく低下させる恐れがあります。
業績改善のためにも、職場のCO2環境に気を払いたいところです。

二酸化炭素中毒の事例


屋内における二酸化炭素中毒の事例として、葬儀の際の棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒死亡事故が挙げられます。
この事例では、二酸化炭素を固体化したドライアイスが気化し続けたことで、棺内のCO2濃度が900,000ppm(90%)程度まで上昇していたと考えられます。
CO2濃度は300,000ppm(30%)を超えると、ほとんど瞬時に意識を消失するといわれているので、棺内のCO2濃度がいかに高いかが分かります。
当該事例は、ご遺族の方が棺の窓から棺内をのぞいたところ、二酸化炭素中毒に陥り死亡に至った悲しい事故でした。
屋内でも二酸化炭素中毒による死亡事故が発生するリスクを周知する事例として、消費者庁でも注意喚起を行っています。
多くの方は、暖房器具を使って窓を締めきっている教室で、授業中に眠気を覚えたり気分が悪くなったりといったことを経験したことがあるのではないでしょうか。
あるいは狭い部屋に大勢が詰め込まれ、息苦しさなどを覚えたことはないでしょうか。
これらの体調異常は、もしかすると高濃度の二酸化炭素によるものかもしれません。
言い換えれば、二酸化炭素への対策をしっかりとしておけば、社員やスタッフのパフォーマンスを最大化できる可能性があるということでもあります。

参考サイト:消費者庁「棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意」

室内の二酸化炭素濃度が上がる原因


屋内において二酸化炭素濃度が上昇する場合には、どのような原因が考えられるのでしょうか?
特に事業所で起こりがちな、二酸化炭素濃度が上昇する主な原因を3つご紹介します。

1.換気が足りない


一番の原因として考えられるのが「換気不足」です。
人間をはじめ犬や猫など、あらゆる動物は酸素を体に取り入れ、二酸化炭素を排出しながら生きています。ですから、私たちが普通に生きているだけでも、部屋のCO2濃度は上昇するのが普通です。
同じ部屋で過ごす人数が多くなればなるほど、CO2濃度も急速に高まりやすくなるでしょう。
特に冬場は、せっかく暖まった部屋の温度を下げたくないという心理から、窓やドアを開放しての換気を避ける人が大半ではないでしょうか。
しかし、何もせずに過ごしていても人や動物がいるだけで部屋のCO2濃度は上昇していくので、まめな換気が必要です

2.建物の気密性が低い


建物の気密性が低いと、むしろ自然に換気ができそうなイメージがあるかもしれませんが、実は建物の気密性が低いほど局所的にCO2濃度が高いホットスポットが生じやすくなります。
気密性が高い建物は、設計時に計画されたとおりの換気経路で空気が滞りなく流れるため、換気を効率的に行うことができます。
しかし、気密性が低い建物は隙間から流れてくる空気の影響で、換気経路が乱されます。そのため一カ所に空気がたまりがちなだけでなく、換気しているにもかかわらず対流効果によりなかなか換気されない現象が起こりやすいのです。
換気しているのに、なぜか空気が新鮮になったように感じられない場合は、建物の気密性の低さを疑ってみるとよいでしょう。

3.CO2を発生させる機器を使用している


暖房器具は、もっともCO2を排出する機器の一つです。とりわけ石油ファンヒーターは室内のCO2濃度を高い割合で上昇させる傾向があります。
また、電気カーペットや照明器具、冷蔵庫、電気ポット、ガスコンロ、給湯器なども二酸化炭素を排出します。
特に冬場は暖房器具を使用する機会が増えるため、室内のCO2濃度も上昇しやすくなります。
まめな換気を心掛け、二酸化炭素を安全な濃度に保ちましょう。

二酸化炭素濃度を適切に保つには


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事業所内で二酸化炭素濃度を適切に保つには、どのように工夫すればよいのでしょうか?
職場の安全を守るために必要な知識と、具体的な方法について解説します。

必要換気量について


建築基準法では、家屋の容積の半分を1時間で換気できる量(0.5回/1時間)を、屋内における必要換気量として定めています。
また、CO2濃度を下げるには、寝ている場合は1人あたり20m2/1時間、軽作業をしている場合は1人あたり30m2/1時間の換気が目安です。
例えば事業所内において、5人のスタッフで軽作業をしている場合は、150m2/1時間の換気量が必要となります。

換気方法について


換気方法には、大きく「自然換気」と「機械換気」の2種類があります。
自然換気とは、窓やドアなどを開放し、自然の風や空気の流れを利用して換気する方法です。
一方、機械換気は換気扇やファンなど、機械動力を利用して換気する方法です。
いずれにしても、どちらか片方だけでは十分な換気効果には期待できません。自然換気だけでは空気が停滞した箇所の換気を行うのが難しく、機械換気だけでは必要換気量を十分に賄うのが難しいためです。
自然換気・機械換気両方を適切に併用するのが理想的です。
例えば始業とともに空調換気運転による機械換気を開始し、就業中にまめに窓やドアを開放して自然換気を試みる──といった具合です。
有効なCO2対策を実施するためには、屋内のどのフロア、どの部署、どの部屋でCO2が高くなりやすいか──など、各環境のCO2濃度を正確に把握する必要があります。

換気設備について


ビルなど、多くの人が出入りするような特定の建物では、中にいる人が安全に過ごせるよう、二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保たなければなりません。
二酸化炭素の基準濃度を保つために、建築基準法では特定の部屋への換気設備の設置を義務付けています。
機械換気における換気設備は、「第一種換気」「第二種換気」「第三種換気」の3種類に分けられます。
第一種換気はファンやダクトなどを利用して、機械給気と機械排気を強制的に行う方法です。建物に設備を埋め込む形が多いため設置コストがかかるものの、換気効率がよくコントロールもしやすいのが特徴です。
第二種換気は、機械で給気を行い自然排気する方法です。自然給気のように外の空気を室内に送らないので、高度な衛生管理が求められる食品工場やクリーンルームなどで採用されています。
第三種換気は、自然給気をして機械排気する方法です。におい対策に効果的な方法で、トイレや厨房、浴室などで採用されることが多いです。
建築基準法にのっとり、自然換気や機械換気を実施できるような設備がすでに備わっている環境であれば、室内のCO2の量をモニターしながらすぐにCO2対策を始められるでしょう。
しかし、CO2対策をするにしても、まずは「今の環境のCO2濃度はどの程度なのか」を把握しなければなりません。
CO2濃度を把握できれば、今後するべき対策や導入するべき設備などが明確になるでしょう。

CO2モニターの導入について


CO2のモニターには、高精度CO2センサー「eAir」がおすすめです。
eAirは高感度の赤外線センサーを搭載しているため環境に左右されにくく、高精度かつ安定的な測定を実現します。
また、アプリと連携することで、測定している現場から離れた場所からいつでもリアルタイムでモニタリング可能。大勢の人間が集まる会議やプレゼンテーション、軽作業などの室内CO2濃度を、現場にいなくても監視できます。
さらにeAirは、「HomeLink」対応家電と連動可能です。eAirとともにHomeLinkで同期させたサーキュレーターや扇風機を現場に設置しておけば、異常の検知とともにいつでも対応家電を連動運転できます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れた最先端の技術を用いて、効率的にCO2対策を実施してはいかがでしょうか。

CO2を適切に管理して生産性を高めよう


高濃度の二酸化炭素はスタッフのパフォーマンスを低下させるだけでなく、最悪の場合は人間を死に至らしめる恐ろしい物質です。
とはいえ、適切に対策すれば避けられるリスクでもあります。
二酸化炭素中毒をどの程度の量で発症するかは個人差がありますが、暖房器具を使用する冬場の事業所において、二酸化炭素がスタッフのパフォーマンスに悪影響を与える状況は容易に発生しやすく、決して他人事ではありません。
業績に直結する重要な課題ですので、まずは事業所内のCO2を精確に計測し、有効な対策を吟味するのがおすすめです。

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