メズム東京、オートグラフ コレクション ✕ (株)テラモト
デザイン性と機能性を兼ね備えた
ワゴンで1室完結型の
客室コーディネートを構築
コンパクト設計でありながら、1台の中に必要な機能がすべて盛り込まれていることから、「革新的で非常に便利」と「ハウスキーピングワゴン C」を高く評価する大槻紀保氏
アイテムを取るために廊下に置かれタイリストの方々全員に私たちが求めたワゴンと客室を行き来する無駄を省略するシステム
メズム東京の客室清掃を担当するチームは「スタイルズ」と名付けられ、スタッフたちは「スタイリスト」と呼ぶ。従来のハウスキーピングの枠を超え、メズム東京の客室のスタイルをコーディネートすること。それが彼らの役目なのだ。スタイリストのオペレーションのベースにあるのは、客室に入ったらコーディネートが終わるまで室外に出ることなく、1室の空間内ですべてを一人で完結させるというスタンスだ。
必要なアイテムを取るために廊下に置かれたワゴンやステーションルームと客室を行き来することなく、客室内だけで作業を進めることで、スタイリッシュな流れと業務効率の向上を両立させるシステムを構築した。
新しいオペレーションシステムの実現のために必要不可欠だったのは、客室をコーディネートする道具やアイテムのすべてをコンパクトにまとめることのできるワゴンの機能だった。さらにそのワゴンには、メズム東京が徹底的にこだわる独自の感性に寄り添うことのできるデザイン性も求められた。「メズム東京は開業準備の段階から、あらゆるシーンにおいてデザイン性を重視しながらブランドを創り上げてきました」とメズム東京のスタイルズ マネージャー、大槻紀保氏は言う。「お客さまの目に触れる機会がある清掃ワゴンについても、デザイン性において妥協することなく選びたいと強く思っていました。廊下ですれ違っても掃除道具として見られることなく、客室内でも違和感のない、レベルの高いデザイン性を追求する必要があったのです」
大槻氏は海外製品を中心にデザイン性の高いワゴンを探したが、客室内でオペレーションを完結するために必要な機能を持ち合わせたワゴンはなかなか見つからなかった。そんなときインターネットで目に止まったのが、テラモトの「ハウスキーピングワゴン」シリーズだった。「これならメズム東京が求めるデザイン性と必要な機能を両立できるかもしれない」と直感した大槻氏は早速テラモトに連絡を取り、デモ機によるトライアルに着手した。デザイン性については申し分のないデモ機を実際の現場で動かしてみたところ、使い勝手のよさが際立っていた。
機動性を高くする重さとコンパクトなサイズセキュリティー、衛生面でもリスクを軽減
その結果、シリーズの中から1室から2室の作業を1台で完結できる「ハウスキーピングワゴン C」を選び、38台を導入するに至った。カラーはメズム東京の基調色とも言えるシックな黒になじむグレーを選んだ。ワゴンに着脱できる「BM トートバッグ」は、メズム東京のカラーに合わせてブラックの特殊色でオリジナルアイテムを創るというこだわりぶりだ。「ホテル全体の統一感を崩さないことは選定において大きな比重を占めていました。メズム東京のブランドカラーに融合させる意味でもハウスキーピングワゴンは最適だというインスピレーションは正しいものでした。スマートなイメージを感じさせるハウスキーピングワゴンは私たちの希望をかなえてくれました」
スタイリストの90%以上は女性である現場の状況を考えると、取り回しが楽にできる重さや機能性はワゴン選びの重要なポイントとなる。客室内に設置して作業するオペレーションであることから、威圧感のないコンパクトサイズも求められる。「ハウスキーピングワゴンは軽量、コンパクトなので、スタイリストは無理なく使うことができます。一人1台で1部屋から2部屋のコーディネートを完結させるのに最適な機能性があると実感しています。一般的なワゴンでは必要なものをその都度取りに行かなければならず、客室清掃時に3、4回は往復が発生しますから、新しいオペレーションの確立によってかなりの効率アップを達成できたと言えるでしょう」
アイテムを取りに行く動線が存在する一般的なオペレーションでは作業全体の約20%を占めていた移動時間がなくなり、体力的な負担も大幅に軽減される。スタイリストのモチベーションも高まる。
メズム東京が生み出した1室完結型のオペレーションは、セキュリティーや衛生管理の面でも力を発揮する。「リネン類が入ったワゴンを廊下に置いたまま作業をする従来のやり方は、セキュリティー、衛生管理の両面でリスクがあると感じます。客室内で完結するオペレーションによってこうしたリスクを軽減できる点も、非常に大きなメリットと言えます」
特に新型コロナウイルス禍にある状況下では、リネン類への飛沫感染リスクは看過できない課題になるだろう。開業準備期間中にコロナ禍を想定することはもちろんできなかったが、結果的にハウスキーピングワゴンはコロナ対策にも貢献することになったのである。
ハウスキーピングの新しいモデルケースをホテル業界に向けて発信していきたい
客室清掃オペレーションにおいて、作業完了後にインスペクターが最終チェックを行なう流れが一般的だ。メズム東京はこの常識をも覆し、「セルフアップデート」と呼ばれるスタイルを最終目標に置いている。客室をコーディネートしたスタイリスト自身が、最終チェックまで責任を持って行なうという仕組みだ。
「アウトソーシングでお願いしているスタイリストの方々全員に私たちが求める最終形に対応できるところまで到達してもらうために、時間は掛かりますがメズム東京が継続的に提供するトレーニングとフィードバックを重ねることで段階的にステップアップを図ります。セルフアップデートができるスタイリストを増やしていくことが、スタイルズの最終形を実現することにつながるのです」
メズム東京はあらゆるシーン、オペレーションについて、新しいチャレンジを実践するホテルブランドだ。従来型のハウスキーピングではタブーとも言えるやり方であっても、優れた新スタイルを築けると判断すれば積極的に採り入れて、プラスの方向へ持っていこうとする強い意志がある。「私たちスタイルズから新しい形をホテル業界に向けて提言しようという気持ちで、新しいハウスキーピングのモデルケースを発信したいと考えています。ハウスキーピングの世界にも新しいソリューションが続々と入ってきますが、それらを積極的に採り入れることで現場は大きく変わっていくと思います」
テラモトのハウスキーピングワゴンがもたらすソリューションもまた、メズム東京のスタイルズが描く理想形を実現する役割を果たしているのだ。
「BMトートバッグ」にはバケツなどの清掃道具を入れて中身が見えない形でワゴンに付けて運び、客室に入ったら外して清掃場所に運び入れる
「セルフアップデート」を本格的に確立するため、スタイリストのトレーニングも担当するスタイリスト リーダーの磯崎広明氏。1室完結型のオペレーションは時間的な余裕を生み出し、より質の高い客室のコーディネートにつながる
お客さまが直接手を触れることが多い箇所には徹底した除菌を行ない、新型コロナウイルスの感染対策にも余念がない
客室内で清掃からコーディネートを完結することで、ホテルの美観やセキュリティー、衛生面が保たれる